ブリヂストンスポーツは2月、新ボール『TOUR B X』『TOUR B XS』を発売した。
同モデルと言えば、タイガー・ウッズなど多くのトッププロが使用するツアーモデル。両立が難しいと言われている「飛んで止まる」を追求し続けているボールだ。
前作もツアープロからの信頼度は高く、多くの勝利に貢献してきた。2020年~2021年の国内女子ツアーにおいて、同社のボールは52戦中24勝、男子ツアーにおいても7勝を達成した。さらに2022年の国内女子ツアーでも、38戦中16勝と2シーズン連続で勝率1位を記録している。
また、矢野経済研究所の小売店実売動向調査「YPSゴルフデータ」において、2023年のゴルフボールブランド別年間国内販売数量ベースで1位を獲得(同社ボールの全モデルの合計)。アマチュアゴルファーからも支持を集めていることが分かる。
そんな中、満を持して発売した新作。既に完成形と言っても過言ではない前作から一体どのような点が進化したのだろうか?
2つの進化が「ディープ感」と「飛距離」を実現
タイガー・ウッズがボールに求めることは「ディープ感」だという。これはタイガー独特の表現で、「軟らかい打音とフェースに長く乗る感覚」を指す。この対局としてタイガーが嫌うのが「クリッキー」。プラスチックのような硬い打感と、いわゆるポッコンボールのような飛び方だ。
タイガー・ウッズの要望する「ディープ感」をさらに進化させるために、今作は、まずカバーを改良。ウレタンカバーに新たな制音・衝撃吸収材を加えることで、フェース上への「乗り感と軟らかな打音」を具現化し、アプローチショットにおけるさらなるコントロール性能の向上を実現した。この新しいカバーを「NEW リアクティブiQ・ウレタンカバー」と命名。特許も出願中だという。
さらにこのアウターカバーの耐久性についても、引き続き高いレベルを維持している。耐久性の高さは同社の契約プロも実感しており堀川未来夢も、
「同組の選手が3ホールごとに1球変えているのに対して、新しいボールでは1ラウンド1球で通せることもあります」
と語っている。これはアマチュアゴルファーにとってもメリットがあることだ。
さらに、ドライバーやショットでの飛距離アップも諦めていない。一部のプロから「欲を言えばもっと風に強いボールが打ちたい」という要望が上がったことで、風に強い強弾道を実現するために低スピン化に着手した。
同社の長年の研究から低スピン化するには中間層の剛性を高めることが必要だと分かっていたが、前モデル以上に中間層を硬くしてしまうと耐久性に影響が出てしまうという問題に直面した。
そこで同社は『PHYZ』ボールのアウターカバーに使っていた無機充填剤をインナーカバー(中間層)に応用することを思いつく。むろん、ただ使えばいいわけではなくその配合の量が重要になってくる。結果、2年間で添加量や種類を変えながらようやく「インナーカバーの高剛性化=低スピン」を実現した。
さらに高比重化も達成したことでボールそのもののMOIも高くなり、パターでのボールの転がりも良くなったという。同社はこのインナーカバーを「NEWハイスピード・インナーカバー」と名付け、同じく特許出願中だという。
これによって、ドライバーショットにおいては「高初速・低スピン」、アプローチショットにおいては「低初速・高スピン」にさらに磨きがかかった。タイガー・ウッズは新しいボールについてこう語っている。
「フェースに長く乗り、打音も軟らかい。このディープ感が気に入っている。特にアゲインストの風に対する強い弾道は本当に素晴らしい。データもアプローチのスピンが200~300回転上がり、ボールスピードが1上がった。これはツアーの世界では大きなことだ。ブリヂストンの開発者達は『Genius』(天才)だ」
前作からまたしても大幅な進化を遂げたNEW『TOUR B X/XS』。今後一体どこまで進化していくのか注目だ。
『TOUR B X/XS』の試打インプレッション動画も公開中!