2024DX/デジタル

ブッシュネル『A1スロープジョルト』

阪神交易

2024/04/01

ブッシュネルゴルフ史上、最小・最軽量モデル

正面から日本市場と向き合う

筆者は「GPS」と「レーザー」の2種類の距離計を常備してプレイする二刀流だ。双方の販売シェアは距離計市場を二分しており、双方に日米の2大メーカーが君臨する市場だが、新規参入が増え続け、群雄割拠の様相を呈している。

3月22日発売の『ブッシュネルA1スロープジョルト』の話を初めて聞いた時、レーザー距離計の先駆者であり、世界のレーザー距離計市場を牽引してきた絶対王者が、ついに日本市場へ正面から向き合ってきたな、と感じた。彼らは本気だ。

欧米のツアーや競技ゴルファーに長年支持され、いまなお絶大な信頼を得ている「ブッシュネル」は、トップブランドであり続けている。

2019年のゴルフ規則改定で使用OKとなって以来、距離計は幅広く認知され、一般ゴルファーにも大切なゴルフギアとして浸透した。同時に、それまで大勢を占めていた「レーザー距離計」とは特性の異なる「GPS距離計」が存在感を増し、新規参入メーカーも増え、安価で軽くて小さい等、隙間を狙った商品が一般ゴルファーを取り込んでいった。そんな趨勢に押されるように「ブッシュネル」は、競技志向ゴルファーのための本格派というブランドイメージをますます強めた。

その「ブッシュネル」から「エントリーモデル、軽量、小さい」と、これまで縁の薄かったワードを具現化した新シリーズが誕生した。

『ブッシュネル ピンシーカーA1スロープジョルト』がそれ。従来にないA1の名称は、今後「Aシリーズ」としてエントリーモデルを展開していくのだと思われる。筆者は競技ゴルファーではなく、手が小さく、距離計の二刀流派なので「ブッシュネル」の性能の高さは理解しつつも、自分用として堅牢な本格派のレーザー距離計は望まなかった。だから今回の「軽くてコンパクトなブッシュネル」には興味が湧く。

あまりの小ささに驚くばかり

 早速、デモ機を日本発売元である阪神交易より拝借した。箱を開封してとにかく驚いた。

「専用ケースが小さくてかわいい」

デザインはこれまでと大きく変わらないが、「ブッシュネル」のゴツさが全くない。わくわくしながら専用ケースのジッパーをスライドさせる。「ちっさ!」なぜだか笑ってしまった。正しくは、顔がニヤけた。事前に資料で予想はしたが、「ブッシュネルの小さい」だから、これほどとは思わなかった。

ファインダー部分を除くとカードサイズとほぼ同じコンパクトさ(幅35×横95×縦60㎜)には驚くばかり。重量もわずか139g。これまでの「ブッシュネル」は軽量タイプでも200gオーバーだったから、一気に150gを切る軽さは革新的な変化と言える。

「彼らは本気だった・・・」

翌週、ホームコースに持ち込んだが、実際にコースに出てみると軽量でコンパクトは魅力的。専用ケースを腰にぶら下げてプレイするのは苦手だが、この大きさで横向きなら気にならない。ポケットに入れてもスイングの邪魔をしない。

富士篭坂36ゴルフクラブ、OUT1番、418ヤード、PAR4。距離が長く2オンが難しいホールなので、2打目地点でレーザー距離計の性能差が顕著に表れる。この日も200ヤード以上は残っていた。しかも緩やかな上り。カートを降りて歩きながら専用ケースのフックを上にパチッと上げ外す。右手で「A1スロープ」を掴む。いや、感覚的には指でつまむ、が正しい。

左手を軽く添え、ピンフラッグを狙う。オレンジのボタンを押すと瞬時に本体がピピッと震えた。ジョルト機能が計測完了を知らせてくれた。速い。結構な距離が残っているのにこの速さはさすが「ブッシュネル」だと感心した。直線距離213ヤード、傾斜4%、高低差を加味すると221ヤードと「太い黒字」で表示される。2オンを狙いたくなるが、正確な事前情報を瞬時に得たので、欲を捨て、6番アイアンで確実にレイアップを選択した。

やはりブランドの信頼感は絶大

「A1スロープ」は、エントリーモデルを明確に謳っている。正直なところ、サイズ、重量が優先で、多少は性能面に目をつぶっているだろうと思っていたが、実際に使ってみると十分に「ブッシュネル基準」で性能に抜かりはなく、ノンストレスでプレイできた。コンパクトなサイズなのに、1300ヤードまで測定できるポテンシャルを持ち、350ヤード先のピンフラッグも測定可能。十分すぎる高機能モデルなのだ。

富士山にもっとも近い筆者のホームコースは天候が変わりやすく、完全防水の「IPX6」も嬉しい限り。市場には防水レベル「4」までの機種が多く、完全防水の「6」は、自然との戦いの場を熟知した「ブッシュネル」のこだわりだろう。バッテリーは安心のType‐C充電方式を採用。ラウンド中に電源が切れる不安がなくなる。

『ブッシュネル ピンシーカーA1スロープジョルト』は、ネーミングが意味するように「スロープ機能」と「ジョルト機能」が主要な機能。エントリーモデルとして、ジュニアやレディスゴルファーまでを想定しているので、「スロープ機能」の解除はあえて付けず、サイドの「Bマーク」は動かない。その割切りは大切だと思う。念のため、競技には使用できないのでご留意を。

「ブッシュネル」ブランドとして初めてカードサイズのコンパクトサイズで、150gを軽々と切ってきたのは、日本市場への本気度の証。これまで接触してこなかった新たなゴルファーに「ブッシュネル」ブランドの世界観を体感して欲しいとのメッセージを感じる。エントリー層だけでなく、筆者のような距離計の二刀流ゴルファーには最適なレーザー距離計だと感じた次第。

近年、海外ブランドが席巻しているゴルフクラブ市場で、国内メーカーに長年身を置いた筆者は、日本市場の特異性を受け入れ、正面から向き合った海外企業の強さを骨の髄まで味わってきた。「ブッシュネル」も、日本市場へ本腰を入れてきた。絶対王者の挑戦が日本のゴルファーの心に響くか、楽しみになった。


阪神交易

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