昨年のレーザー距離計市場には明確なトレンドが見えた。その確信が持てたのが、レーザー距離計の雄「ブッシュネル」が昨春発売した「ピンシーカー A1スロープジョルト」の登場だった。20年以上前から世界中のツアープロ御用達で、堅牢で精緻なモノつくりを貫いてきた絶対王者が、新たなムーブメントを引き起こしたのだった。
そして新シーズン、昨年の全英オープンで97・5%の使用率を誇る「ブッシュネル」の本流、ツアープロ使用を前提に開発された最高峰モデル「ピンシーカープロX3プラスジョルト」が登場した。
届いたデモ機は、いつもの黒色にオレンジを利かせた立派な化粧箱に入っていた。相変わらずカッコいい。購入者が特有の所有感で満たされるのは、唯一無二のブランド力の証だ。
箱を開ける。真っ黒なボディにメタリックを利かせた、いかにもブッシュネルらしいというか、これぞブッシュネルという堅牢ボディに王者の力強さを感じた。近ごろコンパクトサイズばかり手にしているので、左右120×高さ82×厚み45ミリの存在感は、レーザー距離計が精密機器であることを思い出させる。
手に取った瞬間、ずっしりと感じる340gのボディは、不思議なことに左手を添えて構えてみるとすごく安定する。親指部分のくぼみが効いて自然と右手で包み込むように握っているのもフィット感に役立っていそうだ。これは世界中のツアープロが求めるハイエンドモデル。意味のあるサイズと重量感なのだ。
「NEW Locking Slope Switch! →」のシールが目に留まる。矢印の先にストッパー機能が付いている。ストッパーを下に押しつつ、上のバーをスライドさせるとオレンジ色で「SLOPE」の文字が3つ。競技中のアスリートが間違ってルール違反にならないように、しっかりと目立たせてさらに誤作動しないようによく考えられて構造だ。
ウインド機能を新搭載
今回の「ピンシーカープロX3プラスジョルト」は既存のフラッグシップモデル「X3ジョルト」の最高レベルの性能はそのままに、「風速」、「風向き」を表示する「ウインド機能」を加えたことが商品名の「プラス」の意味であるようだ。ショット前にインプットしておきたい事前情報が、これでほぼ全て手に入ると言っても良さそうだ。
まず取扱説明書を見ながらセットアップ。上部に2つあるボタンの奥の方、モードボタンを長押しするとセットアップモードに切り替わった。まずは赤色の数字が4段階にコントラスト調整ができる。4の一番はっきりとした色にセットした。この機能は赤文字表記のときだけ。「ピンシーカープロX3プラスジョルト」はボディの真ん中にある「Ⓑマーク」を押すと赤文字と黒文字が切り替わる優れた機能が付いており、天候等の状況に合わせて切り替えられるのは便利だ。
次に、単位を「Y」でヤード表示を選択。2つあるボタンの手前、電源マークのボタンを押して決定するのだが、「ブッシュネル」の取扱説明書には以前から「発射ボタン」と記載されている。ブランドのこだわりが垣間見えて面白い。
続いて、新機能「ウインド設定」にすると左側に縦に2つの数字が表れた。上が風向きの前後(フォローかアゲインストか)、下が左右の向きを表す。もちろんONにする。その時の注意点が2つ。アプリと接続した状態で表示される機能であることとデフォルトがMPH(マイル毎時)であること。アプリのデバイス設定で事前にメートル毎秒に変換しておきたい。
次は、Bluetooth設定、そして「ホームエレベーション機能」と続く。さて、この機能はどういうことだろうと読み込んでいくと、高低差を加味した「推奨距離」にホームコース(良く行くコース)の標高を加味した計算ではじき出してくれる優れもののようだ。富士山に一番近いゴルフ場をホームコースにしている筆者にとって、限りなく誤差が少なくなる機能だと思った。デフォルトはフィート表示なので、一旦単位モードに戻り「メートル」に変換して、800mと入力した。
元の「フィート」表示に戻すと「2625フィート」と変換されていると正確なインプットが手に入るので、労を惜しまず必ず実施して欲しいと思う。むしろ筆者はこの一連の作業で「なぜゴルフは距離だけヤード表示なのだろう」と疑問に思った。事前のセッティングはOK。ラウンドが楽しみだ。
さすがの測距スピード
寒波が押し寄せ、真冬の寒さが続いた2月。天気予報を細かくチェックして暖かそうな日と地域を選んだ。初めての東京湾カントリークラブ。翌日からは再び寒波が襲来するというギリギリの日だった。長浦コース1番、PAR4、389ヤード。ほぼ真っ直ぐなミドルホール。左腰につけた専用ポーチから「ピンシーカープロX3プラスジョルト」を取り出し、左サイドのバンカー入口を狙って構える。程良い重量感が不思議と安定した測距の姿勢になる。狙った所で
「発射ボタン」を押す。すばやく距離が表示される。ポイントを変えて繰り返し「発射ボタン」を押してもサクサクと測距スピードが速く、ノンストレスだ。
左側の新しく加わった「ウインド機能」の表示に注目する。スタート時は穏やかな天候。フォローの風1m毎秒、左から1m毎秒、影響のない風だ。安心してフェアウェイセンターを目指して振り抜いた。
セカンド地点からグリーンを見る。ピンフラッグが奥の木と重なって見にくい。そんな時は「発射ボタン」の長押し。ピンフラッグを捉えたら大きな輪が点滅して、振動(ジョルト)した。区別のつきにくい目標物を正確に捉え、視覚と体感の両方で測距完了を教えてくれるのだ。加えて600ヤード先のピンフラッグまで測定可能なポテンシャルも心強い。
ボディ右側には大きく強力なマグネットが内蔵されている。この部分をカートの鉄のフレーム部分に当てて装着できる。専用ケースを腰から下げるのが苦手な人には嬉しい機能だ。
天候変化と新機能
やはり絶対王者「ブッシュネル」のフラッグシップモデルは全くのノンストレスで、欲しい情報を瞬時に手にすることができた。本格派の底力を見せつけられた気分だ。
後半に入った途端、怪しい雲行きになってきた。小雨がぱらつき始め、風が強まる。夜から崩れる予報が前倒しになったようだ。まさに風向き、風速を教えてくれる新機能の実力が発揮されるシチュエーションになった。最大で毎秒9mの右前方からのアゲインストの風を記録。風に負けないようにと力みがちなシーンも冷静に数字と矢印で正確に教えてくれるから、ミスショットの確率が減りそうな気がする。
筆者が感じた「ピンシーカープロX3プラスジョルト」の魅力と優れている点を3つ挙げてみる。
・長年培った絶対王者の信頼
・最高峰モデルの高い性能
・風までも把握する充実機能
昨年は幅広い層のゴルファーにも絶対王者「ブッシュネル」ブランドを体感してもらうために、新たな境地を開いた。本流のツアープロご用達ブランドとしての存在感をより強固なものにすべく、フラッグシップモデルをさらに充実した機能へと進化させた。
「14本の次は距離計測器」。ゴルフを楽しむ大切なゴルフ用品として、自分のスタイルにあったものを全てのゴルファーに愛用して欲しいと願う。