(一社)日本プロドラコン協会(JPDA)は3月のジャパンゴルフフェアを目途に、新たな飛びに関するコンセプトを提案する。それが『ショット効率』というものだ。
同団体はドラコンプロ認定、ドラコンイベント開催などを行うドラコンプロの団体で、培った飛距離アップのノウハウやギア開発などを通じて、日本のゴルファーの飛距離アップを目指している。すでに、会員数は800人を超えており、ゴルフ業界での認知度も高まってきた。そのJPDAが弾道測定器等で数値化される「ミート率」に変わる『ショット効率』という概念を提唱していくという。
測定器によるHSの誤差 ヒールヒットでも飛距離が出る場合も
JPDAの松谷伸次会長は、今回の『ショット効率』という概念について、次のように語っている。
「実はこれまでプロドラコン競技やレッスンなどで、多くの弾道測定器を使用してきました。その中で機器によってヘッドスピード(HS)が異なる場合が散見されました。誤差は最大10ほどで、このHSとボール初速の相関関係である『ミート率』は、あまり参考にしてはいけないのではないのか? という疑問が浮かび上がったんです」
ゴルフショップでのクラブ販売は、ゴルファーの試打による計測販売が主流となっている。その中で、飛距離を作る要素はボール初速とスピン量、打ち出し角の3要素で決まるとされ、それ以外に、HSとボール初速の相関関係(「ボール初速」÷「ヘッドスピード」)のミート率が、ゴルファーにとってクラブ選定の判断基準になっている。もちろん、販売側も然りだ。
しかし、松谷氏の主張は、そのミート率の要素になるHSが機器によって最大10ほどの誤差が生じているというのだ。
「どの機器を使っても、計測した飛距離とボール初速は、誤差が小さいと思います。なので、計測機器によって誤差の大きいHSよりも、飛距離とボール初速の相関関係を、球筋の良し悪しや、クラブ選びの判断基準にしようと考えたわけです」
松谷氏によれば、簡易的な飛距離測定器では真っ直ぐ飛んだ場合の測定飛距離と実測値の誤差は少ないものの、HSには誤差が大きく、ヒールヒットで結果的に曲がった球を打っても、HSが早ければ飛距離が出ている結果が算出されるという。その点を解決するのが新たな概念で「ショット効率」というものだ。
飛距離だけではなく、方向性も重要だから生まれた『ショット効率』
JPDAのドラコン競技は、ただの飛ばしを競うだけではない。ある一定の幅に着弾したボールの複数回の記録の平均値で競う。飛距離だけではなく、同時に方向性も重要視しており、これが通常の18ホールのプレーにつながるとしている。つまり、ゴルフにつながる飛距離の団体なのだ。
その中で、第一段階で重要なのはHSのアップだが、その計測値が機器によって異なるのは、大きな問題。
「様々な計測器がありますが、それぞれの機器がアップデートされていくと思うんです。その時に、それぞれの計測値に誰もが納得できる基準を元に、アップデートして行ってもらいたいですね。飛距離やスピン量など数値の算出方法に業界共通の基準があれば、ゴルファーの永遠のテーマである『飛ばしたい』想いに、応えていくことができると思います」
HSと言えば、それ自体は40年ほどの歴史を持つ言葉。しかし、様々な技術を背景に多くの計測器メーカーが開発し、HSひとつにしてもクラブのどの部分を計測しているか、不明な点は多い。そして、計測手段も高速度カメラやレーダーと様々。だから、
「『ショット効率』という新たな概念を提唱するんです」
ゴルファーの飛距離をサポートするドラコンプロの団体が、ゴルフ産業界に大きな変革をもたらそうとしている。