2024クラブ・ボール

アーティザン 研磨師マイク・テーラーに聞いてみた 工房店主の疑問と ソールの設計思想

インフィニットゴルフ

2024/04/01

アーティザンと言えば、世界ナンバー1プレーヤーを始め、米PGAツアーのトッププロのアイアンやウエッジを研磨してきた研磨師マイク・テーラーのブランド。日本では2019年にウエッジが発売され、現在はアイアンもクラブにこだわるゴルファーに好評だ。

特にウエッジに関しては、6つのソールタイプを用意しているが、各ソール形状はそれぞれに設計思想がある。そして、アイアンを含め、多くの工房が研磨師であるマイク・テーラーに聞きたいことがある。その一問一答とソール形状に対する設計思想を紹介する。

マイク・テーラーに聞いてみた! 工房店主が聞いてみたい3つの質問

 

Q 軟鉄素材「S20C」をアイアンやウエッジの素材として採用する理由、そして軟鉄素材とはマイクにとって何?

M まず「S20C」は伝統的に鍛造クラブで使われており、信頼と実績がある材料であることです。加工条件がすでに確立されているので安心して採用ができる。ただし、いままでの経験から、同じ「S20C」でも鍛造条件や鍛造工場の違いで、同じヘッド形状でも打感(打球音)が変わることがわかっています。私はそこまで繊細なプレーヤーではないからわからないけどね(笑)。ただ、私は研磨をする時にその違いを強く感じます。同じ条件で研磨しても、引っ掛かり(抵抗)が強いものと、とてもスムーズに研磨できるものがあります。これは同じ「S20C」でも素材の製造メーカーによって炭素の含有量が異なったり、それぞれヘッド製造工場の鍛造条件で違いがでているような気がしています。

Q 一般ユーザーをフィッティングする際、米国では芝の上から試打することが多いと思いますが、ゴルファーのどこを見ているのでしょうか?

M この質問の答えはいたって簡単ですよ。基本はインパクトの音とソールの音。そして入射角が大きいか小さいか。それで、どのような形状のヘッドがマッチするのか、どのようにヘッドをグラインドするのかを考えていますね。

Q アーティザンのアイアン、ウエッジはコンサバティブなフォルムが特徴ですが、アイアン、ウエッジの近未来的な形状はどうなっていくのか? 想像しているのであれば、それはどのような形状なのか?

M アーティザンゴルフはオーセンティックな形状、シンプルなデザインを大切にしています。現在はツアー選手からのフィードバック、実証をされたプロダクトをツアー選手と同じ条件で、一般ユーザーにも提供することができています(アメリカは完全カスタムオーダーのみのため、日本の販売方法とは異なります)。基本路線は変わらないと思いますが、お客様の要望には応える義務があると思っています。例えばもっと飛び重視のアイアンとかね。でも、アーティザンゴルフらしいものになることは間違いないね。具体的な商品は完成したら教えるよ。

ソールタイプ毎のリクエストと設計思想

 

S スタンダードソール

SはスタンダードのSでバウンス角は11度で設計しています。これはアイアンのPWのバウンスからの流れです。ただし、56度に関してはDS, SB, WSと3種類あることからバウンス角14度で設定しています。Sソールの特徴は、どの様なプレースタイルにも合わせられるオールマイティーなソール形状です。開いてもリーディングエッジが浮かないようにヒール側のトレーリングエッジが落とされています。

DS デュアルソール

DSはARTISAN GOLF WEDGESの中で最も大きいバウンス角の15度です。入射角が大きく、強く打ち込んでいくタイプのプレーヤーのリクエストから生まれました。地面に深く潜るため、ソールの後方は斜めに落とすことで、スムーズに地面に潜っていきながら、15度のバウンス角がしっかり働き、ソールの抜けを良くしています。地面にはじかれずに、抜けの良いソールです。

SB スクエアベベルソール

SBは超一流トッププレイヤーのリクエストによって作り込まれた形状です。SB(スクエアーベベル)の名の通り、ソールのリーディングエッジ側に面を設けて2段バウンスとなっています。これは彼がベアグランドや硬い地面からハンドファーストでボールをヒットした時にベベル部分がバウンスの代わりとなり、リーディングエッジが刺さることなく振り抜くためです。またメインソールのバウンスは7度とモデルの中でいちばんのローバウンスです。糸を弾くようなロブショットなどフェースの開閉を自由に操れるようにする虎のテクニックを引き出すリクエストです。

WS ワイドソール

WSは硬い地面から弾かれることが無いようにバウンス角10度に設定しています。このウエッジをリクエストしたプレーヤーは常にシンプルなショットをイメージしており、フェースの開閉をあまり使わずアプローチするため、ソールがしっかり滑ってくれ、バンカーでフェースを開いた時はワイドソール形状によりトレーリングエッジ部がバウンスの代わりとなり、しっかり潜ったヘッドを浮かせてくれる効果を生むデザインです。

R ラウンドソール

Rは日本の契約プロからのリクエストで作られました。日本独特の高麗芝はボールがベント芝より浮いている状態になります。このボールの下に抜けることなく、しっかりコンタクトするためにバウンス角12度、トウヒール方向、フェースバック方向に丸みを持たせたラウンドソールとし、硬い地面でも柔らかい地面でもしっかりソールが働くようにデザインされています。

DR ディーアールソール

DRはDSとRの利点を合わせたソールデザインで、ツアープロが5種類のソールをうち比べたときのフィードバックから生まれたソールです。PGAでは2名のプロの使用実績があります(現在の使用は不明)。バウンス角は14度とDSとRの中間で、Rよりソールの設置面は狭く、DSより広い。トウヒール方向、フェースバック方向のラウンドはR同様に付け、ソールの抜けをよくしています。


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