2024シャフト・グリップ

『TORAYCA M40X』『TORAYCA T1100G』

東レ

2024/03/20

シャフトを軽く、長く。ヘッドスピードが上がり飛距離が伸びる

ゴルフクラブの要求性能は“ボールが遠くへ飛び、方向性が良いこと”に尽きる。「飛び」に対しては、クラブを軽くしてヘッド速度を上げ、ボールの初速度を早くすることが重要だから、シャフトの軽量化が求められます。その際、折れないように強度を維持することが重要な課題となる。

東レのトレカ®は、弾性率24tf/mm2の標準弾性率高強度糸や、弾性率30tf/mm2の中弾性率高強度糸を開発し、曲げ強度を発現するストレート材の高性能化を実現。さらに近年では、これまで技術難易度が高いとされてきた高強度と高弾性率化の両立を実現した、高強度・高弾性率炭素繊維トレカ®「T1100G」や、ナノアロイ®技術を適用した高性能プリプレグを新規に開発し、軽量化の極限追及に貢献している。

そして、もう一つの要求性能である「方向性」については、シャフトの中心軸とヘッドのボール打点がずれてヒッティングした時に生じるシャフトねじれが方向性を悪くしないよう、“ねじれ難く(「トルク」を小さく)”することが重要になる。

ねじり剛性は、積層角度±45°が極大値を持つことから、“ねじり(トルク)低減対策”は±45°を積層に入れる方法が採られ、弾性率40tf/mm2の高弾性率糸はねじり対策バイアス材の定番材料として定着し、現在では46tf/mm2以上の高弾性率トレカ®が活用される場合もあるとか。

プリプレグを使用するシートワインド成形によるシャフトは、長手方向に対して、±45°の内層(アングル層あるいはバイアス層と呼称)と、長手方向0°材(ストレート材と呼称)およびヘッドホーゼル部の補強・補厚材が基本構成であり、シャフト特性はこれらの組合せで、フレックス、トルク、重量、キックポイント等が決まる。

炭素繊維では、積層角度および厚みなどの組み合わせから、従来の金属材料では不可能だったこれらの性能を最適設計することが可能となり、最適性能を最軽量で実現する。

東レでは、豊富な材料データベースや過去の知見を活用したCAE解析技術により、最適設計の提案も行っている。

同社スポーツ材料事業・福山宗春事業部長が次のように話す。

「近年では、ゴルフヘッドの重量設計の自由度向上を目的に、クラウン部のCFRP化による軽量化が流行しています。トレカ®は、意匠性を目的としたクロス(織物)や、プレス成形に最適な速硬化樹脂のラインナップで、この用途にも活躍の場を広げています」

このように、ゴルフシャフトのフレックス、トルク、重量、キックポイントや、ゴルフヘッドの重量配分等の要素を、各ゴルファーの体力に合わせた最適な設計にすることで、業界随一のラインアップを誇るのがトレカといえそうだ。

アベレージゴルファーからトッププロまで、また、ハードヒッターからシニア・女性ゴルファーまで、多種多様のゴルフクラブで採用されている。トレカ®が今後もゴルフの進化を支える重要な材料となることは間違いない。


東レ

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