飛距離と方向性の両立は永遠の課題である。そこへ挑戦し続け、このほどシャフトで製品化へ漕ぎつけたのがクライムオブエンジェルだ。その特性は、昨今の「軽硬」が主流の市場にあって、「軟らかいのに安定した挙動」にあり、「驚異的なしなりで飛距離アップを実現する」というものだ。
ドライバー用の『PERSONA(ペルソナ)』がそれで、48g(硬度F1、トルク5・5、振動数210cpm)、51g(同F2、5・4、223cpm)、51g(同F3、5・4、229cpm)の3タイプを用意。価格は各1本6万9300円となっている。 その同社が送り出すシャフトを、豊富な試打経験を持つギアの賢者、永井延宏プロに様々な角度から試打検証してもらった。
まずは動画で
永井 今回はドライバーシャフトのテストですが、40g台の「F1」、50g台「F2」、同じく50g台の「F3」と、対象ヘッドスピード、そして重量別に3タイプを商品化。コンセプトはどのHS帯でもシャフトがやわらかいのに暴れないという点です。まずは、「F3」からテストしていきます。
ヘッドスピードに合わせ3タイプをラインアップ
永井 今回基準とした「F3」(想定HS40~43)は3タイプの中では一番しっかりしたモデルですが、非常にしなりの大きさを感じることができました。とはいえ、手元部分の剛性感があり、中間部から先端部かけてゆっくりと動く印象。 インパクトに対して左(右利きの場合)に壁を作って、腕とシャフトでしなり戻りを作るスイングでは、バックスイングやテンポ、タイミングにしなりを取り込むことができそうです。
一方、身体でリードしてタメを作るタイプのゴルファーは、インパクトで一気に開放するため、大きなしなりがインパクトに対するエネルギー効率の高さを作ります。 トップから切り返したのちオンプレーンに入りますが、このゾーンを体の動きでしっかりと作っていきやすい特性もありますね。そして、インパクトゾーンに向かうタイミングとテンポをシャフトが導いてくれる。やわらかいのにしなりの連動性を持たせつつ、ねじれが抑えられている証で、先端剛性も含めエネルギー効率が非常に高いシャフトといえるでしょう。
スイングイメージ的には、クラブヘッドを早く戻したがってしまうような方。つまり、打ち急ぎやテンポが早い人にズバリミート。シャフトのしなり戻る時間差を確認してからこのシャフトを振ってもらうと、インパクト効率が飛躍的に上がり、自然とスイングもよくなるはずです。
多くのアマチュアにミート「F2」
永井 想定ヘッドスピード、重量が商品ラインアップの真ん中に位置する「F2」(想定HS36~39)では、撓り挙動を大きく感じる部分が広がります。アマチュアの使用域に入りました。実際に打ってみると、とても振りやすい。特に、バックスイングでも撓りを感じやすく、スムースに切り返しへ入ることができるので、タイミングが作りやすいスペックです。
先ほどのF3に比べると、明らかにシャフトが動くイメージが出てきますので多くのゴルファーの方にミートするでしょう。振動数が214cpmということで、数値は大きく変わりませんが、手元側の強度を担保しつつ、ミッドから先端にかけての動きはナチュラルにクラブがついてきてくれる印象。
シャフト特性は同じですが、シャフトの変形量がしっかり出てきます。数値をみても明らかで、フェーストゥーパスは左を向きすぎず、インパクトロフトも上向きに作ってくれる。 対象HSで打ってみましたが、キャリー200Y、トータル230Y、スピン量2400回転。オートマチックに適正弾道を生み出し、最大大効率値をシャフトが導いてくれました。
ローHSでもしなる、叩ける「F1」
永井 最後に打つのが、ラインアップでは最軽量の40g台「F1」(想定HS30~35)。打ってみるとしなる部分がグリップの下まで広がっている印象です。その意味では、バックスイングがゆっくりになるので、非力なゴルファーにもタイミングが取りやすいでしょう。 対象HSに合わせて、ヘッドのロフト角を2度プラス方向へ調整して打ってみましたが、ミッド部分がタイミングを作って先端が動いてくる感じというのが、より出ていると思いました。
特性としては、しなり量が大きくてしなり戻りも強いんですが、ヘッドが左に向きづらいところは、低ヘッドスピード領域でも「叩いていく」というイメージを引き出してくれるシャフトといえます。
ただ単にしなりを感じながら、タイミングだけで打つのではなく、体の動きというのをしっかり取り入れながら振り切ると、このシャフトの持ち味がでてくる。そうすれば、200Y前後の飛距離が期待できることをトラックマンの数値が物語っています。 3タイプのフレックスには、想定HSに幅を持たせてあり、重量や感じるしなり量に応じてスペックを選んで欲しいですね。 お