デジタル2021

ピンシーカーツアーV5シフトスリムジョルト

阪神交易

2021/03/31

【イクメンマーケッター・桑木野洋二の14本の次は距離測定器・特別編】

メジャーで使用可能に

2月に入り、すでに2021年の新シーズンに突入しているアメリカから、距離計測器に関するビッグなニュースが飛び込んできた。

全米プロゴルフ協会(PGAオブ・アメリカ)は、5月20日開幕予定の海外男子メジャー、全米プロゴルフ選手権など3つのメジャー大会で距離計測器の使用を許可すると発表した。

革新的な決定だ。距離計測器の使用はゴルフ競技ではすでに一般的であり、プレイの流れを改善するのに役立つ可能性があるものには常に関心がある、という協会の見解である。

もはやアメリカでは、ゴルフのプレイには距離計測器が必需品であり、プロトーナメントの課題でもあるスロープレイの撲滅に、距離計測器の採用が役立つと判断されたのだ。やはり新しい動きはアメリカから始まり、世界に広がっていくのだなと改めて感じた。

本場USAの香り

それでは、この変化の恩恵を最も受けるメーカーはどこだろうと考えた。「ブッシュネル!」即答した。言わずと知れた、レーザー距離計測器のトップブランド。今から15年以上前、USLPGAツアー会場の練習ラウンドで筆者が初めて知ったブランドである。専属キャディが何やら小さな望遠鏡のようなもので残り距離を測って、選手に知らせている姿を目にし、衝撃を受けた。

その日以来、筆者の中でレーザー距離計測器のトップブランドは「ブッシュネル」であり、欧米のプロに支持されているプロ御用達ブランドであるイメージは今でも変わらない。多くのゴルファーのイメージも似たようなものだろう。そんな折、「ブッシュネル」から3月に新しいレーザー距離計測器が発売開始されると聞いて、早速デモ機を拝借した。

大好きなオレンジ色

どのようなモデルなのか全く事前情報がないまま、到着した箱を開梱した。見慣れたオレンジ色で囲まれたハードケースが出てきた。相変わらず恰好いいな。これもブランドからくる先入観なのだろうか。オレンジ色が好きな筆者にはこれだけでも「ブッシュネル」を持つ意味があるような気がしている。中から本体を取り出す。軽い。ボディもコンパクトで、良い意味で裏切られた。

「ブッシュネル」はどうしても欧米のゴルファー前提のモデルだから、重くて、大きいという先入観があるのだ。実は、これが「距離計測器は二刀流がおすすめ」の筆者が自身で所有していない大きな理由だった。 手に取り、グリップしてみる。グローブのサイズが22㎝の筆者の手にすっぽりと収まった。「あれっ?何となく見たことのあるデザインだな」と思いつつ、本体に貼ってある日本語の表示を確認した。

「ピンシーカーツアーV5シフトスリムジョルト」。なるほど、昨年、テストした「ツアーV5」がさらにスリムになった改良版のようだ。製品資料を確認する。

奥行40x幅114×高さ76㍉、本体の厚みが前作より5㍉薄くなっている。これだ。わずか5㍉だが、奥行の長さ45㍉から11%以上の削減になるから、手の小さな筆者でも収まりが良いのだ。重さは208g。前作より18gも軽くなった。黒いボディに赤色をポイントにしたデザインは、洗練された「ツアー」の力強さを感じるのにコンパクトで軽量化が進んでいる。プレイ中の使い勝手が良さそうで、ラウンドが楽しみになってきた。

発射ボタンとは

今回のテストのコースは、近頃お気に入りの千葉県野田市にある「紫カントリークラブ紫あやめ36」。都心から近い好立地に、36ホールを展開しているパブリックの林間コースだ。冬場にも関わらずコースコンディションは良い。

Westコース、IN10番、308ヤード、PAR4。ほぼ真っ直ぐの短めなミドルホールだ。

本日の使用グリーンは右のあやめグリーン。その手前に大きな木が障害物となっている。ティーイングエリアに立つと、ほぼ真っ直ぐなホールなのにその木でピンフラッグが見えない。

「ピンシーカーツアーV5シフトスリムジョルト」のファインダーを覗く。明るい。前作よりも景色がはっきりとクリアに見える。老眼で悩む筆者には嬉しい進化だ。文字は黒色。気温や温度も加味したフル装備の「プロXE」の赤色文字も見やすかったが、「ツアーV5」はデジタル文字が大きく、黒文字がはっきりとわかりやすい。ファインダーの真ん中の〇を右の大きな木の真ん中あたりに当て、本体上部の赤い「発射ボタン」を押す。

「ブッシュネル」特有のネーミングだ。こだわりが感じられる。258ヤード、傾斜+2%。朝一のティーショットなら届かないなと確認し、フェアウェイやや左を目標に設定。確実にとらえられるように短く持ってセンター前ヒットを狙う打ち方をした。ややあたりが薄かったものの目標方向に飛んだ。

ホッとして乗用カートに乗り込む。その際、本体側面の「BITEマグネットマウント」の強力磁石を活用して、カートのフレームに貼り付けた。ハードケースを腰に下げるのが苦手な人には便利な忘れ物防止機能だ。さらにアイアンヘッドにもくっ付くから、さりげなくスマートなプレイができて結構重宝する。

ノンストレスな動作

セカンド地点に到着。もうウェッジの距離だ。ファインダーを覗き、「発射ボタン」を押す。と同時に〇を 中心にピンをサーチする十字が現れた。すると間髪入れずにピピッとボディが震えて、外側の赤い輪「レッドリング」が光った。これなら間違って奥の景色を拾ったり、何度もボタンを押すこともない。

「ブッシュネル」自慢の「ダブルジョルト機能」であっという間に計測は完了した。直線距離67ヤード、傾斜+1%、打つべき距離69ヤードと表示された。

実際の競技では高低差の計測は出来ない。でも練習ラウンドでは計測して事前情報として理解しておきたいから必要な機能である。「ブッシュネル」には競技中に同伴者から嫌疑をかけられることを避けるために、一目でわかる機能をさりげないアイデアとデザインで装着している。本体左側の一番目立つところにある「Bマーク」がスライドし、高低差を計測している時は、「Bマーク」の横から赤い背景が現れる。わかりやすい一方で、ブランド愛をくすぐる実に上手なデザインである。

69ヤード打てばいいと言い聞かせ、自信を持ってAWのスリークオーターショットをした。ピン手前約3㍍にナイスオン。気分良くAWのヘッドを本体側面の「BITEマグネットマウント」に当て、しゃがむことなく「ブッシュネル」を拾った。スマートゴルファーの出来上がりである。

「やっぱりこれだ。これがブッシュネルだ」

このノンストレスな一連のショット前後の動作ができる機能こそ、いつまでもプロや上級者に支持され、リーディングブランドでいられる所以だと改めて思った。

筆者が感じた「ピンシーカーツアーV5シフトスリムジョルト」の優れている点を3つ挙げてみる。

・ブランドの信頼と期待感
・実戦に強い豊かな創造力
・ゴルファー憧れの本場の香り

ますます強固なブランドに構築できる環境が揃ってきた。このフォローの風が日本のゴルフ産業全体に広がり、活性化することを期待したい。

「14本の次は距離計測器」。ゴルフを楽しむ大切なゴルフ用品として、自分のスタイルにあったものを全てのゴルファーに愛用して欲しいと願う。


阪神交易

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