半完成品の鍛造ヘッドから手研磨で完成させる『SD T2』
モダートといえば、CNCマシンを活用した機械加工のアイアン、ウエッジが特徴なのだが、近年の鍛造と研磨の代表作が『HM-26』。ツアープロがアプローチの引き出しを増やすために生まれたウエッジで、製法は鍛造→研磨加工というもの。
ただ、機械加工は形状を揃えるために必要で、そこに人のぬくもりが欲しいプレーヤーもいるという。そこで生まれたのが、『SD T2』。鍛造してCNC加工を施すが、研磨できる部分を多少残して、最終的には同社須田満社長が実際に手を加えて形状を作るのだ。
それだけではなく、『HM-26』と比較して『SD T2』はソール面をフラットにすることで、インパクトではヘッドはスクエアで、安定性が高い。素材もS25CからS20Cの柔らかい素材を採用。先のソール形状と素材で、インパクトでは柔らかく厚いインパクトを感じられる。ネックは同社計測で79㎜と高重心でスピン性能に長けており、さらに『HM-26』のスコアラインが刻印であるのに対し、『SD T2』はCNC加工でスコアラインをデザインしている。
須田満社長は、
「どちらが良い言うわけではないと思います。ゴルファーによって易しいクラブはそれぞれで、スタイルに合わせて選んで欲しい」―。
厚く柔らかい打感「高スピンだけど飛ばない」
『SD T2』 に対するツアープロの評価は高い。1回のテストで使用を決めた同社契約の篠崎愛プロのコメントを紹介しよう。
「スピンもかかりますし、打感も柔らかいと思います。ボールがフェースに吸い付き、フェースにのっている時間が長いと思います。その点では、いい意味で飛ばないウエッジです」
ドライバーと違い反発しない。弾かない。飛ばないウエッジは、短い距離のアプローチで緩むことなくスイングができる。その意味で篠崎プロは、それを『良い意味で飛ばない』と表現している。飛びすぎたりスピンが掛からなかったり。打ち出し方向や球の高さ、球筋の安定に悩んでいるゴルファーの選択肢の一つになりそうだ。