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和以美

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2024/03/22

和以美・元木健二選手がG4Dツアー初出場! パラアスリートとして、企業人×職人としての挑戦

和以美株式会社・酒田営業所のパラアスリート社員元木健二選手(右下腿切断、山形県)が1月22日〜23日にドバイ(アラブ首長国)のALHAMARAカントリークラブで開催されたG4Dツアー「G4D Tour @Ras Ai-Khaimah Championship」に招待選手として初参戦。

G4Dツアーとは、EDGA(ヨーロッパゴルフ協会)の呼びかけで、男子ヨーロッパツアーの「DP World Tour」と同じコース、同じ設定で世界から選ばれた障がい者ゴルファーが出場する競技だ。

今大会は「ラアス・アル・ハイマ選手権」の前哨戦として行われ、これまではWR4GDランキング(世界障害者ゴルフランキング)のグロス部門上位者の中から選ばれた選手が出場していたが、今年は同ランキングネット部門の10名が選抜されている。

その一人が元木選手で選出時のWR4GDネットランキング16位、日本人選手としては最上位にランクする。アジア勢の参加は元木選手一人のみで、結果は83・75で8位入賞を果たした。

同選手権には、英国をはじめとするヨーロッパ諸国、オーストラリア、カナダなどから参加。ひと握りのエリートプレーヤーだけが出場できる試合ではなく、努力と運があれば出場権を獲得できるHDCP戦は今後も開催の予定で、より多くの選手がプロツアーと同様のゴルフ場と設定でプレーできる他、障害者ゴルフの健全な発展にも繋がると期待されている。

G4Dツアーへアジア人として初出場を果たした、和以美株式会社のパラアスリート社員・元木健二選手(38)と同社の田中幸治社長を交え、出場の手応えや日頃の働き方を訊く。アスリートとして、そして企業人・職人としての挑戦を浮き彫りにする。

**―G4Dツアー出場おめでとうございます。元木さんは日本代表選手として競技と仕事をとてもバランス良く両立されてますね。**

**元木** 仕事も競技も、どちらも手を抜かず頑張りたいと思っています。現在の職場である和以美・酒田営業所(山形県)では住宅の外壁施工を担っており、パラアスリート社員として昨年4月に採用された経緯があります。

―右足を失ったのはいつ頃?

**元木** 車でサーフィンへ向かう途中、誤ってガードレールに突っ込んだのが20歳の時。運転席は粉々で、右足が挟まった状態でした。病院では義姉が対処してくれました。遠目で担当医師と話しているのが見えたんですが、涙を流していたので、ただ事じゃないと。

―どのような心境でしたか。

**元木** 朝、麻酔から目が覚めると右足の膝下がなくなっていました。でも、へこんだことは一度もないです。日々生きていることに感謝してますし、義足をつければ普通に歩けるって言われたので。

―バランス感覚が変わりますよね? 一番苦労した点は。

**元木** 特にありません。私の場合、幸いにも切断面が綺麗なので痛みもなく、義足がすんなり膝下から装着できるんです。普通に歩けるので、長ズボンを履いていると健常者によく間違われます。

―平日は仕事で、普段はどんな練習をされてるんですか?

**元木** 時間があれば練習場に出かけます。ゴルフは雨や風など外的要因はあるけれど、ピンを狙う自分自身が大きく結果を左右します。ゴルフは人のせいにしたり、ごまかすことができません。もしかすると、そうした弱い自分に打ち勝ちたいという思いで続けているのかもしれません。

―ゴルフを始めたきっかけは。

**元木** 友人に誘われるがまま34歳でいきなりコースデビューしました。競技に目覚めたのは今からちょうど3年前で、SNSを通じDGA(日本障害者ゴルフ協会)主催のゴルフ競技会を知ったのもこの頃です。人でもスポーツでも、出会いって本当に不思議ですよね。

―元木さんにとってゴルフの魅力とは。

**元木** ゴルフはチームで戦うスポーツとは異なり、自分ひとりで判断し自分と戦う競技です。そして、障がいを持っている自分が健常者と同じフィールドで一緒にプレーができて楽しめる。ゴルフって本当に素晴らしいスポーツだと感じます。

―G4Dツアーへの出場が決まったとき、周りの反応はどうだった。

**元木** 世界観が変わるくらいたくさんの方が応援してくれて、頑張ってこいと言っていただきました。今回初参戦して、私自身もっと腕を磨いてさらに高いフィールドで戦いたいというモチベーションになりましたし、私が活躍することで、同じような障がいを抱えた人たちに勇気を与えたいっていう気持ちが一層強くなりましたね。

―最後に今後の目標について聞かせてください。

**元木** 最終目標は、PGAのインストラクター資格を取得して、これまでお世話になった人たちへレッスンで恩返しをしたい。今はプレイヤーとして上位を目指しますが、仕事も競技どちらも全力で取り組みたいと思っています。

## パラアスリート社員の雇用と和以美株式会社・田中幸治社長の想い

左から
和以美㈱ 田

 

―はじめに和以美株式会社の業務内容についてお聞かせください。

**田中** 当社は、1932年(昭和7年)に「ヤスヰベニヤ店」として東京都荒川区に創業、昨年11月に創業90周年を迎えました。東日本を拠点として住まいづくりの基礎となる木材や合板を中心に、国内外600社以上のメーカーや専門商社から住宅資材や設備機器などを仕入れ、お客様の要望や時代のニーズにあった商品を工務店様や住宅会社様にご提案・ご提供しております。また、近年は住宅設備、建築資材の販売に加え施工も行っています。

―パラアスリート採用に踏み切った理由は。

**田中** スポーツには競技者だけではなく、スポーツを観ている人も感動や一体感を覚えるという不思議な力がありますよね。また当社として元木さんに関しては、パラアスリートとしてだけではなく、職人としての活躍にも期待できました。企業人としての活躍の場も提供できると感じたことが採用の決め手です。今回の元木さんの活躍を起爆剤に社内のチームワークやロイヤリティが高められ、それが本業に還元されることを期待しています。

―勤務形態はどうなっていますか。

**田中** 多くのアスリートは、職場選びで練習環境の向上と大会出場機会の増加を最重視します。私たちもアスリートに寄り添い勤務体系・処遇面などを考慮しています。元木さんの場合、月8日勤務となっています。

―元木選手がG4Dツアー出場を果たしました。

**田中** 壮行会では、西日暮里の本社で一言あいさつしてもらいました。ハキハキと良い話をしてくれて、初日は叩いちゃったけど(笑)本番での強さを目の当たりした思いです。

帰国後の報告会では、話し方が上手くなっていた印象で、社員たちが熱心にメモを取るほど良い土産話を披露してくれました。競技を通じてはもちろん、当社社員や他国の障がい者アスリートと触れ合って刺激を受けることで、多くのことを吸収して、自信をつけた成果だと思います。

―元木さんは社内ではどれだけ知られているのでしょうか?

**田中** グループ会社含め約400名の社員には、社内報、当社の公式インスタグラムやFacebookを通じて元木さんの活躍ぶりを紹介していることもあり、浸透しつつあると感じています。そこに選手のコメントや社員からの応援メッセージ、試合結果などの情報を掲載したところ、社員にとても好評でした。

― 今後もパラアスリートの雇用は検討されますか?

**田中** 既に元木さんの他に元Jリーガー2名が元アスリート社員として活躍していますが、新卒を含めて前向きに検討していきたいと考えています。当社は障がい者アスリートの採用に力を入れている企業のひとつです。このように私たちの取り組みが広がっていき、パラアスリートを取り巻く環境が向上すればうれしいですね。

和以美株式会社 TEL.03-3807-4141 https://www.waibi.co.jp/


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