アーチの新ライン『ナチュラル9』シリーズ『ロッソ』と『ネロ』を永井延宏プロが徹底検証していきます。
アーチシャフトは、綺麗なしなり戻りが特筆され、ストレスフリーで非常に振りやすいという印象がありますが、今回の2タイプの性能は果たして? ヘッドはキャロウェイゴルフ『パラダイム』(ロフト10・5度)を使用して、硬度25で打ち比べていきます。
## まずは動画で
## 軽量タイプ『ロッソ』の第一印象は
**永井**まずは『ナチュラル9ロッソ』(硬度25)から。第一印象は手元側の適度な剛性感が伝わってきますね。そして、ミッドからチップにかけてはしっかりさが増すので、シャフトの動いてくれそうなポイントがいくつかありそう。
アーチの硬度表記は、アッセンブル時の振動数を用いており、『ロッソ』では20~27の計8フレックスを用意。分かりやすくいうと、レディスからXまでという理解でいいでしょう。重量帯で見ると、一番軽いシャフトが41gから始まって1gピッチで入り、途中から2gピッチへ変わる。最も硬い27で54gですが、私が手にしているのは、硬度25(49g)なので硬い方から3番目。SXに位置付けられます。
また、『ロッソ』は軽量シャフトに分類されますので、飛距離重視タイプといえます。そして、カウンターバランス設計のため、様々なヘッドと合わせやすいのも特長的。その特性を活かして長尺仕様でスピードへ繋げたり、ヘッド側を重くしてハンマー効果を得るなど、フレキシブルなチューンが可能です。
キックポイントは、やや先調子ということですが、シャフト形状も手元側に太さ&重さを感じ、軽量タイプなんだけど剛性を感じる。早速打ってみたいと思います。
## 打ってみると・・・
**永井**おー、いい感じですね。かなり飛びましたよ。手元の重量効果で、トップの位置から自然にタメができる。印象としては、60g台のシャフトを振っているようなタイミングの取りやすさというのがありますね。
でも、実際の重量は49gとはるかに軽いので、陸上の短距離トレーニングでいうプラシーボ効果が期待できるわけですよ。シャフト自体は軽いわけですから、単純にスピードに変換される仕組みで、スピードを上げるようなトレーニングをしているようなイメージですね。
シャフト挙動はバットからミッド、そしてチップと三段ロケットのようなエネルギー伝達です。インパクト時は、 〝バシャーン〟 とパワーが増幅してボールに当たります。さらにしっかりとシャフトが押し込んでくれるので、綺麗なドローボールが出ました。
ひとくちでいうと飛距離直結型。とはいえ、インパクト時に手元が浮きづらいので、プロや上級者でも使える先調子シャフトです。
## 正確性やスイングが安定する『ネロ』
**永井**続いてナチュラル9『NERO』(硬度25)に移ります。こちらはどちらかというと“重さをしっかり感じる”コンセプトで、正確性やスイング安定に重点を置いています。ですので、硬度は24~29とややしっかりめの展開。全体的に積層が厚くなるため、強度、剛性感を増しているのが分かります。重量帯は60g~71gですから、昨今のアフターマーケット用のシャフトでいうと、男子のツアープロが使うような印象があります。
今回、私が打つのは『ロッソ』と同じ硬度25。60gをちょっと超えたタイプですが、打ってみたいと思います。
## 打ってみると
**永井**構えてみると、手元側のしっかり感があり、積層の厚さを感じます。先端側も激しく動くイメージではないので、やはり安定型ですね。正確性というところが見えてきて、特にチップに近い部分のしっかりさが際立つ。オフセンターヒット時のヘッドのブレやエネルギーロスを軽減してくれそうです。
バシュッ!
重量帯の違いがそのまま自分の振りの強さに表れ、『ロッソ』比で打ち出し角1度、ランディング角は2度違う結果に。スピン量も1割ほど差が出ましたが、打ち出しのラインはほぼ一緒なんですよね。
自分でイメージ通りに打ち出したボールがそのラインにまっすぐ突っ込み、低スピン弾道で鋭くフェアウェイをキャッチしてくれたのが『ネロ』ということになります。安定型ですが、叩くタイプのスイングにもミートするでしょう。
アーチのものづくり、テクノロジーが垣間見え、そのことを数値が裏付けています。