2026クラブ・ボール

QUANTUM

キャロウェイゴルフ

2026/04/01

QUANTUM5モデル ほんとはどうなの?

キャロウェイゴルフは2月、『QUANTUM』ドライバーシリーズを発売した。異素材による3層構造の「TRI-FORCEフェース」を新たに開発し、徹底的に「ボールスピード」と「飛距離」にこだわり抜いた意欲作。早くも販売店の評価も高い。

一方、長年多くのゴルファーを指導し、アマチュアを知り尽くすレッスンプロに今作はどう映るのだろうか? 本誌ギアインプレッションでお馴染みの永井延宏プロと常住充隆プロに『クアンタム』全5モデルを試打してもらい、その特徴を大放談してもらった。

先日『クアンタム』について販売店を取材したところ、かなり評価が高かった。そこで今日はお2人に5モデルを打ってもらい忖度なしの本音対談をお願いしたいと思います。

永井 分かりました。

常住 よろしくお願いします。

早速ですが全モデル打ってみていかがでしたか?

永井 正直言うと最初はなぜ5モデルもあるのかなと疑問でした。ただいざ打ってみると作り込みも違うし、ターゲットを明確に分けている。

常住 僕は打感が面白かったですね。今作はチタン、ポリメッシュ、カーボンの3層構造フェースとのことで、それが影響しているのかもしれないけど今までにない打感でした。

「ハードグミ」打感の低スピンモデル

まず『MAX』はどうでしたか?

常住 意外と顔が良くてスッキリしているなと。外ブラのドライバーはソールするとフェースが開いて見えるものが多いですが、これはストレートで座りが良い。クラウンのカーボンとチタンの境目がちょうどスクエアに見えて構えやすかったです。

永井 私は投影面積が大きめだと思いましたね。ヒール側を見るとクラウンからソールにかけて貝のようなラウンドになっている。つまりクラウンとソールを接着した感じがなく一体感がある。ヘッドが球体に近いので全体でたわませて反発させる狙いが見て取れます。顔に関して厳しめに言うと、ライ角はアップライトだけどフェースはスクエアなので、どっちを向いていいのか分かりにくい印象がありましたね。

2人で印象が違うのは興味深い。

常住 先程言ったように、僕は打感がこれまでにない感覚でした。例えるなら「ハードグミ」。柔らかい中に強い芯がある。打音は低音です。

永井 私は金属音ではなく、破壊音のような感じに聞こえました。打感はヘッドがクシャッと潰れるような感覚ですかね。

常住 顔のスクエア感に対して球はつかまりやすいですね。僕にとってシャフトはロースペック(50S)ですが、初見で打ってスピンが2600回転くらいなので、低スピン性能のヘッドだと言えます。

永井 私もデータを見ると打ち出し角13度で、スピンは2300回転。アタックアングルが4度で、スピンロフト10.8度なので、常住さんが言うように低スピン性能が強いですね。

顔に関しては厳しいことを言いましたが、打ってみるとシャフトの動きに対してヘッドが素直に右に出るので、ボールが放射状に出てしまうという感じがせず出球が安定しそうです。ただ半面、スライス傾向が強い方や球が右に出やすい方は怪我をする可能性が高いと思います。

常住 僕が合うと思う人は、インパクトでフェースが開いてダイナミックロフトが上を向き、フェースの下に当たってスピンが増えちゃうゴルファーです。そういう方はスピンが落ち着く効果がありそう。ただ、インパクトで左に壁を作ってボディーターンで打つ方はボールをかち上げてドロップする傾向があります。こういう方は余計にスピンが確保できなくなるのでやめた方がいいでしょうね。

繊維が交差するような打感

続いて『MAX D』はどうでしたか?

常住 『MAX』に比べて投影面積が大きくなり円盤のような感じ。深重心でアップライト感も増しているので、球がつかまって上がりそうな感じです。やはりフェース面も左を向いている感じがします。

永井 確かにオフセットがありますね。大型深重心ヘッドで、『MAX』よりも重心角が大きい。ヘッド後方にウエイトがついてないのは後ろ側に重さを出さないようにするためでしょうね。

常住 でもヘッド形状はシャローで、全体的に円盤に近いので空気を切り裂いていけそうなイメージがあります。僕が普通にスイングするとやはり左方向に飛ぶのでかなりつかまるモデルだと思う。結果ですが、もっと高弾道でスピンが入ると予想していたんですが、実際はスピンが2000回転切っていて284ヤード飛んだのは驚きました。

永井 私は逆に普通に振るとあまりDっぽい挙動を感じませんでしたね。やはり投影面積を大きくしている分、後ろに負荷がかかるので出力を上げるとインパクトでヘッドが逃げて右に向きます。自分から左に引っ張る力を使わないといけないですね。ただ面白いのは、ヘッドスピード(HS)を38くらいに落としたらまさにDという弾道になってヘッドの後ろからボールにバーンと当たっていく感じが体感できました。ヘッドの直進性も高いのでオフセンターヒットにも強いです。以上のことからも『MAX D』はHSが遅めの人の方が合いそう。逆に速い人には、シャフトに対してヘッド後方の重さが勝ってしまうので向かないと思います。

常住 僕はやはりその名の通りつかまるモデルだと感じたので、プッシュスライスや右の傾向が強い方には合っていると思います。スイングタイプで言うとアップライトに上げて上からインパクトをすることでスライスになっている方に使ってほしい。逆に頭を動かさない1軸スイングの方は、シャフトの反動でコックを早めて打つので、ヘッドターンが強くなって左に行きやすい。そういう方は余計に左に行ってしまうのでやめた方がいいと思います。打感は『MAX』に比べてフェースに吸い付く感じが強く出ました。打音も初速とシンクロした爽快な打音です。

永井 その辺りはボディのカーボン比率が『MAX』よりも多いからかもしれませんね。そのためか、カーボン繊維がきしむ音、繊維が交差するような打音で、ほぼ金属感はありませんでした。

次は『MAX FAST』にいきましょう。

常住 これは間違いなくHSが40以下、特に35〜36くらいの方がターゲットですよね。

永井 同感です。実際にクラブ重量も『MAX』比で25g軽くなっているのでシニアや女性が前提になってくるでしょうね。

常住 だからシニアに多いスインガーや、ふわっと振っていくタイプには合う。あとアッパーが強くてドロップしている人に向いていると思うんです。

永井 フェースプログレッションも小さいし、10.5度表記ですがリアルロフトは12度くらいありそうですね。

常住 ただ、『MAX D』よりもさらにシャロー感が増しているのに、僕はフェース面が過度に被っているとか、そういう嫌な印象は受けないんですよね。今までの2モデルにも共通していると思いますが、フェース面がスクエアに感じる。

永井 なるほど. 実際にHS39で試打したら、スピンが2616回転でキャリーが201ヤード。これはヘッドのパフォーマンスの高さだと言えそうですね。

常住 僕はもっと落としてHS35くらいで打ちましたが、スピンは2600回転でトータルも200ヤード近い。どちらかと言うと真ん中から右に着弾しているので、球が上がって直進性も高い印象です。打音は『MAX』『MAX D』に比べて少し高い感じ. 逆に打感は柔らかくてモチモチしてる。『パラダイムAiスモーク』に非常に近い感じがします。

永井 いずれにしても『MAX FAST』はほかの4モデルとは別物と考えるべきでしょうね。これまで『ゼクシオ』が担っていた軽量の領域にこのモデルが食い込んできそうな感じがします。ヘッド重量200g前後のクラブに慣れている人はあえて使う必要はないと思いますがが、一方でHSが速くてもヘッドを感じてしまうと結果が出ない人がいる。そういう人にはこの『MAX FAST』でヘッドを消してシャフトで重さを出してあげると結果が良くなりそうです。

次は従来モデルでも人気のあった『◆◆◆(トリプルダイヤモンド)』についてお願いします。

常住 これは今までの3モデルよりもヘッドが小さいですね。ソールするとヘッドが右を向くので、絶対に左に行かせないという設計意図を感じます。

永井 そうですね。構えるとフェースが開くので自分でスイングを作っていく必要がある。その分、構えた瞬間にテンションが上がります。

常住 はい。フェースもディープで浅重心。しっかり叩ける印象です。実際に打ちましたがやはり出球を自分の狙った所に出して行けますね。我々プロは出球がぼやけると表現しますが、このモデルはそういうことがない。やはり何となく振っている人には難しい。HSが遅い人も球が上がらないので厳しいでしょう。HSがある程度速くて、テクニカルに自分で球を操作していける人には抜群です。

永井 私もこのモデルはシャフトに対してどこにヘッドがあるのか感じやすい。ラインが出て気持ち良いですね。一方、自分でバランスやスイングプレーンを管理できない人は厳しい。まさにアスリートツアーモデルという顔つきです。

常住 ただシャフトスペックの問題もあると思うんですが、永井さんに比べて僕は意外とスピンが入ってしまった印象です。

永井 これは予想なんですが、キャロウェイはボールとの相乗効果でスピンをコントロールしてるんじゃないですかね。新しい『クローム』シリーズはHSの速いツアープロの要望に沿って低スピンになるように開発した。だから逆にツアーモデルの『◆◆◆』は適度にスピンが出るようにしてバランスを取っている。試打ボールはキャロウェイじゃないので、常住さんくらいのHSで打つと多少スピンが多めに出るんじゃないかと推察します。

ピンからの乗り換えもアリ 安心感をプラスしたプロモデル

最後は『♦♦♦ MAX』についてお願いします。

永井 構えるとだいぶサイズ感が出る印象ですね。これは『◆◆◆』という名がつきながらかなり易しい方向に振っています。

常住 それは僕も感じましたね。ツアーモデルの中でも易しく打てそうですし、『◆◆◆』に比べてフェースが右を向いておらず適度につかまりそうです。

永井 その辺は重心角が程良く出ていることからも分かりますよね。

常住 そうですね。アスリート向けというより中上級者向け。

永井 ロフト10.5度ですがリアルロフトはもっとありそうです。

常住 実際に普通に打つとやはりやや左に飛びましたね。おそらくフェードヒッターで、たまに球が滑ってしまう方などはちょうど良いストレート弾道になるんじゃないでしょうか。永井さんはいかがでしょう?

永井 『MAX』に比べてボディのカーボン比率が高く後方にウエイトが入っている。打つとかなりMOIを感じます。そのおかげでバランスを崩すくらいクラブに働きかけても曲がらない。フェースのスイートエリアも非常に広い印象です。

常住 『◆◆◆』の兄弟モデルとは言え、プッシュスライスや右に出てさらに右に滑る人にも向いていそうです。アスリートモデルに挑戦したい中上級者にも是非使ってほしい。ただ、無理にドローを狙ってインサイドアウトが強い人は左に飛び過ぎるので注意が必要だと思います。

永井 私はインパクトでクラブがスクエアに戻りやすいと感じました。打ち出し角16.1度でスピンは2000回転。まさに高打ち出し低スピンのドライバー。ミート率も1.49と良いデータが出ました。ピンのドライバーが好きな人にはかなり合いそうです。今私はキャロウェイの初代『エピック』を使っていますが、このモデルに即変えたいくらいです。個人的には5モデルの中で一番しっくり来ました。

ゴルファーの感性に訴える『クアンタム』シリーズ

今日は5モデルを一気に打ってもらい色々語ってもらいましたが、総括をお願いします。

常住 今作はフェースが他のドライバーにはない3層構造なわけですが、正直我々プロや上級者じゃないとそこまで打感や打音の違いを体感できないと思うんですよ。

永井 そう。フェースばかりに目がいくけど、実際にはフェース構造を引き出すボディ形状も深く関係している。『MAX』を試打した時にも言いましたが、球体形状に近づけることでボディ全体でたわませて飛ばすような効果を出している辺りがこの『クアンタム』の開発の妙です。だから良い意味で面の感じがしないんですよね。大きなエネルギーの塊がボールに当たるような感じというかね。

その意味ではテーラーメイドなんかはまさしくフェースの弾きでビューンと初速を出すイメージ。それでトラックマンで数値を見せて「どうだ初速出ただろう!」みたいな世界観ですよね。一方、ピンはとにかく機能を推してくる。その点キャロウェイは今言ったようにフェース面だけじゃなくボディとの一体感がある。ヒューマンな部分に働きかけるというかね。だから道具としての心地良さを感じますよね。

常住 なるほど深いですね。今回の『クアンタム』はAIが3層構造によってフェースを効率良くたわませて初速を出すというテクノロジーを生み出した。この発想は率直にすごいと思う。ただ、体感的には正直飛び抜けて初速が出ているという感じはなくて、それよりも僕はトータル的なバランスがすごく良いなって思ったんですよ。

永井 だからその辺りはAIを使っているんだけど人間の感性を分かっているという意味で完成度の高さであり、キャロウェイの開発の妙ですよね。今この練習場で日々どういった人達がゴルフをやっているのか分かっているというかね。AIとうまく付き合えている成功例じゃないですかね。

常住 ここまでテクノロジーが進化して完成度の高いクラブになっているわけですが、キャロウェイは次に何を作るんだろうと逆に心配になっちゃうくらいですよね(笑)。

永井 確かにね. 昔のパーシモンは木目が良いとか自然との繋がりだったけど、今作はAIがゴルフを豊かにしてくれるのを感じました。時代とマッチしているなと思いましたね。次にも期待したいですね。

【動画】永井プロの動画インタビューはこちら


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