海外のトッププレーヤー達を唸らせた『TENSEI』
三菱ケミカルのシャフトと言えば、海外の多くのトッププレーヤーから支持されているということだろう。ツアーでの高い使用率は他社と一線を画す。
一昨年2月に日本上陸を果たした『TENSEI CKプロオレンジ』シリーズは、2017-2018シーズンの海外メジャー競技で最も多くのプレーヤーが手にしたことをきっかけに、日本のツアープレーヤーの使用率も高く、まさに全世界のツアーシーンを席巻したシャフトだと言える。
原料からの一貫生産を可能とする同社の強みを生かし、多様な材料を用いて、常にプレーヤーが求める性能を実現することから、「数多の材料が高性能シャフトとして転生する」、また「天性」、「点睛」にも通じるメッセージがブランド名の由来となっている。
さらなる「飛び」と「精度」を実現する待望の『TENSEI』NEWシリーズ
そんな三菱ケミカルから3月、待望の『TENSEI』NEWシリーズ、『プロ ホワイト 1K(ワンケー)シリーズ』(5万円)が発売した。
同シリーズは「ホワイト系」の特徴である強靭な先端剛性でヘッド挙動を安定させ、「芯でとらえるインパクト」で方向安定性と低スピンの強弾道を実現する。
バット部の「1Kクロス」
性能の決め手は同社ならではの材料遣いと成型技術だ。
まずはブランド名の一部にも使用されている「1Kクロス」がそれだ。
ゴルフシャフトに使用される一般的なカーボンクロス(織物)は炭素繊維の一束あたりのフィラメント数は3000本(3K)だが、今作は「1Kクロス」の名の通り、1000本となっている。
1Kを実現したことにより緻密な織目となり、高賦形性を維持。成形の加工自由度が高く、精密な設計が可能となった。
また、織目が細かいことでカーボンの蛇行も少なく、カーボン繊維間の樹脂の量も抑えることができるため、重量も抑えられるメリットもある。
同社によると、
「『CKプロオレンジ』に使用した、ブランド名の由来でもある『CK』(カーボンケブラー)に対してグリップが太く感じるという意見もありました。今作は『1Kクロス』を使用したことで、しなやかさも生まれているので、その点を解消できるフィーリングになっています」
と話すように、「1Kクロス」をバット部に使用することで、切り返しで深いタメを作り、しなやかな撓りでインパクトまでスムーズに振りぬくことができる。
最新のドライバーヘッドと好相性
さらに、製造プロセスを見直し、従来難しかった弾性率と強度の両立を実現した、高性能炭素繊維「MR70」を使用。
また、シビアな物性が要求される航空宇宙用途や、反発や感度に優れた高性能の釣り竿などに使用される、強靭で高い補強効果を発揮する「ボロンファイバー」を採用している。
近年のドライバーは直進性を重視した重心距離の長い高慣性モーメントのヘッドが主流になっているが、これらの素材を使用することでシャフト先端の強度が増すため、ヘッドコントロールを容易にするだけでなく、インパクト時のヘッドの負荷に耐えられるので、しっかり叩いても左に行きづらく、低スピンの強弾道になる。
まさに最新のドライバーヘッドと好相性のシャフトと言えるだろう。
炭素繊維の性能を最大限引き出す「クロスリンクテック」
もう一つの技術は、「クロスリンクテック」だ。
カーボンシャフトの構造は、簡単に言うと炭素繊維同士を樹脂が繋げているので、両者のコンビネーションが重要になってくる。
そこで同社はマトリクス樹脂の組成を最適化して、強固な「架橋構造」(クロスリンク)を構築し、同社従来品比で、強度14%、弾性率15%、破断伸度8%向上させることに成功した。
新たに炭素繊維の性能を引き出す「#371レジン」という樹脂を開発して使用することで、MR70のポテンシャルを最大限引き出している。
全てのゴルファーに最適な1本をもたらすシャフト
今作は50g台から80g台まで14 スペックをラインアップしている。
GEW取材班も実際に試打したが、スペックによって明らかに弾道に変化が見られた。また通常ではオーパースペックだと感じていた50Xを試打すると、驚くほどスムーズに振りぬくことができ、強弾道に変化した。
ゴルフのレベルに関係なく、全てのゴルファーが最適な1本を見つけられるはずだ。