パッティング専門のプロ団体 プロパッティングツアー第1戦ドラコン以上の盛り上がり
昨年、(一社)日本ドラコンプロ協会(JPDA)の松谷伸次代表理事は、パッティング専門のプロ団体(一社)日本プロパッティング協会を設立した。
「一つの才能に特化したプロツアーを開催し、ツアープロを育てるのが一義的な目的です。ただ、それだけではなく、パッティングならプロ、アマ、さらには老若男女が同じステージで誰でも参加できる。そんなゴルフの楽しみ方の受け皿として団体を立ち上げました」
プロテストは筆記試験のみだが、第一期は236名が受験、142名が合格。103名がプロ登録した。
そして2021年2月末、同協会初となるプロ競技「プロパッティングツアー第1戦」(公式球:『SRIXON TRI‐STAR』)がダンロップゴルフコース(兵庫県神戸市)で開催。同大会には33名のパッティングプロが参加した。
練習グリーンで行われたプロパッティングツアーは18ホール・パー36のストロークプレー。予選で1位選手と2打差までの計3選手が3ホールのプレーオフに進出、プロ一期生の村上田選手(23歳)がトータル5アンダーで優勝した。村上さんは、
「パッティングが好きでゴルフを始めましたが、ツアープロへの挑戦を諦めたゴルファーです。今回、過去に例のないパッティングの試合でしたが、資格も試合もパター好きには有難く嬉しい試合でした。大会も盛り上がり、特に男子には人気がでる資格であり、ツアーだと思います」
言ってみれば、ドラコンと比べて地味に見えるパッティング競技。しかし、パッティング競技は子供にも分かりやすく親しみやすいので、性別や年齢を問わず多くの観客を集めた。村上さんの「人気が出る」という台詞には、選手の真剣な表情からも伺えるが、深読みすれば様々な可能性がある競技であり、団体であることが浮き彫りなった。
アマチュア規定に関わる日本ゴルフ協会のアンケート アマでもパターなら稼げる!?
「パット・イズ・マネー」
ゴルファーなら誰もが知る言葉だ。この文言は元来ツアープロに対して使われてきた。しかし、それが変わる可能性がある。
日本ゴルフ協会は3月26日まで、アマチュア資格に関するアンケートをゴルファーを対象に実施。質問の多くがアマチュア規定の緩和についてで、メインはアマチュアの商品・賞金の獲得などだ。そのなかで興味深いのが次の質問項目だ。
「ドライビングコンテストやパッティングコンテストのみが行われるイベントではアマチュアが受け取ることができる賞の制限がなくなることについて」
賛否を5段階で問う質問で、この質問が問われることを拡大解釈すれば、2つの競技に関してアマチュアの賞金・賞金の制限が緩和される可能性を秘めていると推測できる。
つまり、アマ規定が緩和されれば日本プロパッティング協会が設立した意義は、公に稼げるパッティングプロを育成する団体を模索できるのだ。
それに加え、あくまでも想像の域を超えないが、村上選手の「男子には人気が出る」という台詞には、特に飛距離不足でツアープロを諦めた男子ゴルファーの受け皿になる可能性への想いも見え隠れする。
松谷代表理事は、JPDAの成功体験から、
「将来はパッティングプロの資格制度に加え、レッスン事業も確立したい。JPDAではそれが成立しており、プロの大きな収入源にもなっている。パッティングプロは中学卒業以上が受験資格を有しますが、年齢や体力差は関係がないので、ドラコンより様々な可能性を秘めていると思います」
現在、JPDAやプロパッティング協会のプロ資格を取得した場合、アマチュア資格は失効となるが、JGAのアンケートの動きには、それが覆る可能性が否めない。その意味で、同協会の活動は大きな意義があるのだ。
しかし、それだけではない。パッティングというカテゴリーそのものが、市場活性化の鍵になる希望の光を秘めている。
老若男女にフェア パッティングプロ資格、競技は ゴルファー創造の入り口に
ゴルフプレーの中で唯一、性別、年齢がパフォーマンスに影響しづらいのがパッティングだ。つまり、ゴルフプレーの中で最もフェアな部分だといえる。
パターでボールを転がして穴に入れる。ただそれだけの所作だから、それだけの動作ができれば、年齢や性別は無関係だ。もっと言えば、ゴルファーでなくてもパターを握ることができればパッティングはできる。それが幼児であっても、老年であってもだ。
ゆえに、初めてゴルフに触れるきっかけがパッティングであれば、ゴルファー以外にもゴルフの楽しさの一部が伝わる。それに加え、「パターでボールを転がして穴に入れる」ことは誰にでも結果が分かりやすい。そして何よりも「パッティング」だけで競技が成立する。
長年にわたり、ゴルフ界の最大の悩みは、ゴルフ人口の減少だ。しかし、その光景をドラコンという亜流といわれる競技を成立させた体験で眺めれば、誰でも出来て、何処でも練習ができるパッティングのプロ資格制度、そして競技がゴルフ界を救うのかもしれない。