2023練習場/インドア

『FOCUS』で世界進出! PGAショーも認めた進化とAI技術

アンプラス

2023/04/16

アンプラス FOCUS

アンプラスと言えばForesight Sports(フォーサイト・スポーツ)社の大ヒット弾道計測器『GC2』や『GCQuad』を日本市場に広めた企業だ。同社は海外製品にプログラム追加やAI実装をし、日本市場向けに利便性を上げるIT技術(アドオンとローカライズ)を持っている。

さらに自社開発の高速処理カメラ&画像解析ソフトの『PEACOCK』(ピーコック)は、スイングとクラブを正確に解析できるとして多くのインドアゴルフ施設に支持されてきた。

そんな同社は1月24日〜27日に米国フロリダ州で開催されたゴルフの見本市「PGA Merchandise Show」(PGAショー)に出展。最新の自社製品『FOCUS』(フォーカス)を世界にお披露目した。約40坪の同社ブースには計2打席に加え、受付と商談ラウンジを設置。連日訪問客で賑わい4日間で数百人がブースを訪れたという。

PGAショーの出展と『FOCUS』は同社に何をもたらしたのだろうか?

ゴルファー目線のデータ表示技術


近年弾道計測器やシミュレーターが進化する中で、「計測項目の多さ=良い計測器」というイメージが定着している節もある。しかし複雑な表示を読み解くには一定の経験値が必要で、フィッティングやレッスンに落とし込めていない現場も多い。『FOCUS』はその弊害に切り込み、ゴルファー目線に徹底的にこだわった計測器だ。その根拠になるのが、打球後の計測項目を全て「足元」に表示してくれる点にある。同社の倉地伸尚社長によると、

「一般的な計測器やシミュレーターはデータをモニターやスクリーンに出すのが普通です。ですが、打った直後にモニターを見るこの動作自体が既にゴルファーの足枷になっているんです。何故ならゴルファーが一番見ているのは足元(地面)なはず。ですから私達は足元にデータを即座に表示し、ゴルファーのショット後の感覚を断ち切らないようにしているのです」

データの表示はシンプルかつ直感的に認識できるように緻密に計算されている。特筆すべきは、実際にクラブヘッドが通過した動きを、マット上に視覚的に表示している点だ。インパクト前後の軌道やフェース面の動きを視覚的にも表示した上で数値化してることがポイントだ。

さらに秀逸なのは、ヘッドの加速度と軌道を連続する縦線で表現している点だ。線と線の間の幅が広いほど速く、狭いほど遅くヘッドが動いたことを意味しており、インパクト前後のヘッド軌道や角度もまさに視覚的・直感的に確認できるというわけだ。

他の計測機にあるような複雑な数値の専門用語をあえて排除し、ゴルファーに役立つ表現に特化することで、現場のフィッターやレッスンプロにも親しみやすい製品となっている。

もちろんモニターには実際の計測項目やショット履歴がデータと共に示されており抜かりはない。特筆すべきは、クラブ自体にセンサーを付けたりマーカーを貼ったりすることなく、角度や加速度が計測される点だ。さらにそのデータも直感的なグラフで表示しており、より実践的なクラブフィッティングやスイングチェックが可能になる。フィッティングを強化している専門店にとっては革新的な機能だ。

PGAショーが注目した新領域 「AIクラブトレーサー」

これらを可能にするのは、同社が得意とするクラブのトレース技術だ。従来の『FOCUS』はヘッドのクラウンに専用の「ドーナツシール」(特許取得済)を貼ることで軌道を正確に認識していたが、クラブごとにシールを貼る作業が少なからず現場の負担になっていた。そこで同社はAI技術を活用し、シールを貼らなくてもクラブを認識させることに成功(特許取得済)。アイアンとドライバーの違いを自動検知し、即座にショット動作に入れるようにした。さらにショット後のデータ表示も驚くほど速く、ストレスを感じさせない。倉地社長も、

「打った直後の体の中にセンセーション(感覚)が残っている間に、すぐに足元でデータを見れるようにしました」

同社はPGAショーで、これらを新領域「AIクラブトレーサー」という形で訴求。ブース設営時から各方面の技術・営業トップが多数訪れ、問い合わせが殺到したという。さらに現地メディアもこの技術に注目。米国の人気ゴルフメディア「マイゴルフスパイ」にPGAショーのトップ製品の一つとして紹介されたほか、「Par2Pro」というシミュレーターを取り扱うカナダの企業からも絶賛された。

さらに、フォーサイト・スポーツ社のブースにあるプレミアムレンジにも『FOCUS』が設置された。フォーサイト・スポーツ社が自社製品以外をブースで紹介するのは異例のことで、アンプラスとより一層のパートナーシップを築いていく意思表示だと言える。

フォーサイト・スポーツ社ブース

「フォーサイト・スポーツ社のメンバーからも、今後は『FOCUS』ありきのインドア市場になるだろう、という言葉をもらいました。米国はもちろん、ヨーロッパや東南アジアの有力なディストリビューターとも商談が進行中です。今後私達はAIと戦う未来になる。その中で各自がどれだけ新しい発想でAIを取り込めるかが鍵になると思います」(倉地社長)

競合とのタッチポイントになる『FOCUS』の可能性

もう一つ『FOCUS』の特筆すべき点は、どの計測器とも連携できるように予め開発されている点だ。これによって、競合他社とのシェアの取り合いではなく、その計測器の利便性をさらに上げる立ち位置になれる。PGAショーにおいて日本未上陸の計測器メーカーからの引き合いが多かったこともそれを物語っている。計測器ではなく「AIクラブトレーサー」という新ジャンルは競合とのタッチポイントを同社にもたらしたと言える。

フォーサイト・スポーツ社のTwitterでは、「AMPLUS 社のFOCUSプロジェクションシステムと当社のカスタムシミュレーターの連携の話題でオーランドは持ちきりになりました。」と紹介された。/左上写真:photo by Par2Pro

「ポストコロナの中で開催されたPGAショーですが、出展して良かったと思います。当社の社員も片言の英語ながら各社のブースに飛び込んで営業してくれました。日本の成長はこのパワーとエネルギーが世界に伝播したからこそ。当社も日本企業として胸を張れる製品を出せた。これからもこの熱量で世界を目指して頑張っていきたい」(倉地社長)

アンプラスが「足元」から世界進出の第一歩を踏み出した。

【動画】『FOCUS』をGEW記者が体験(2022年3月「ゴルフフェア」にて)


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