2月1日、ホウライカントリー倶楽部(ホウライCC、栃木県那須塩原市)にGEAR社の一人乗りカート『G-CART』が100台導入され、同日稼働がスタートした。ロバート・ボン・ヘギー氏設計による、戦略性と美しさを兼ね備えた18ホールのチャンピオンコース。赤松林に囲まれたフラットな土地に位置し、1年中緑の芝でプレーできるエバーグリーンコースが特徴だ。しかし、その風光明媚なコースゆえに、楽にプレーさせてくれない一面も併せ持つ。そして、例にもれずキャディ不足という課題も抱えている。その解決策として導入されたのが『G-CART』だ。導入の狙いを石黒智生執行役員(ゴルフ事業本部長)が語る。
カート道からコースが見えない ひと山越えてフェアウェイへ
1990年7月に開場したホウライカントリー倶楽部。その設計を手がけたのは、ロバート・ボン・ヘギー氏だ。同氏の設計思想は、フェアウェイからカート道が見えないことにある。ホウライCCも例にもれず、リンクスコースでありながら、多くのホールでフェアウェイのカート道側には丘陵を思わせる傾斜がある。
一方で、フェアウェイから望む凛とした那須連山の景観は圧巻だ。その景色とリンクス特有の地形が織りなす妙は、他のゴルフ場と一線を画す。しかし、カートを使用していると、その関東有数とも言える風光明媚な景観を十分に味わうことができない。さらに、カート道からフェアウェイへ出る際、多くの場合、その丘陵を越えなければならない。
過去には「イーヤマカップ」の会場にもなったトーナメントコースで、コースレートは73.5。プレーそのものも決して易しくはないが、加えてこのアップダウンがゴルファーの体力を奪う要因となっていた。石黒智生執行役員がこう語る。

石黒智生執行役員
「年配のプレーヤーも多く、カートからフェアウェイまでに山を越える。それが体力的にきついという声も多かった」
さらに、他のゴルフ場同様にキャディ不足も深刻で、兄弟コースの西那須野CCを含めた36ホールでキャディは20人に満たない。
「いつの間にか、セルフ率が高くなっていた」
そうした状況の中で、救いを求めたのがGEARの一人乗りカート『G-CART』だった。
『G-CART』を選んだ理由 それは走行性能と安全性

とはいえ、一人乗りカートは多く流通している。なぜ『G-CART』を選んだのか。
「まず、安全性につながる走行性能ですね。四輪独立懸架という、4つの車輪が互いに影響されず独立して上下動するサスペンション構造を有している点です」
これは路面追従性が高く乗り心地に優れ、安定した操舵が可能となる構造。それに加えて、低重心で車体重量90kgという軽さが、芝を傷めず安定したコース上の走行を可能にする点だったという。
「当初はグリーンキーパーから『芝を抉る心配がある』という懸念もありましたが、昨年9月から200ラウンドほどテストして、芝を傷めないことも確認しました」
さらに、ナビメーカー「テクノクラフト」が提供する『ジオフェンス』との連動が可能だった点も大きい。
「一人乗りカートは自走ですから、安全面が担保されなければなりません。その点、『ジオフェンス』と連動することで、危険地域へ近づくと自動でブレーキが掛かったり、下り道では速度が自動で制限されます。これによって、ゴルファーの安全管理が可能になっています」
プレー時間短縮への期待も高まり、何よりも安全で、女性や高齢者からの支持も高いという。
「ホウライCCで歩かなくても良い」
そうした声も聞かれ、リピーターも増えている。
しかし、この導入の背景には、ホウライCCが抱える課題に正面から向き合った本気度があった。
新しいプレーの形 未来へ向けた本気

とはいえ、導入にはさまざまな障壁もあった。
「一部ですがコース改造も行いましたし、バッテリー充電についてはカート庫の天井から充電用コードを吊り下げました。雨天対策として特注でカバーも作りました。なぜ、そこまでやれたのか。本気だったからだと思います」
ホウライCCは開場当時、他に先んじて2人乗りカートを導入したいという夢を持っていた。
「30年経って念願が叶ったんです。それに『G-CART』は、乗用カートがゴルフ界に登場した時以来の革命的な商品。だから本気で取り組みました」
現在、ホウライCCはスループレーが中心(2月)。『G-CART』の運用はアウトスタートのみで、インスタートは4人乗り乗用カートで対応している。プレー時間短縮も期待でき、最大1.5倍の運用を目指す。ただ、それ以上に、
「体力的に楽になるので、1.5ラウンドプレーを推奨していきます」
カートフィーは1台1575円。月額使用料は2万7500円で、月17回の稼働が必要となる。乗用カートとの併用だからこそ、ハーフ追加を推奨していく考えだ。
「高齢化社会、人手不足という意味で、ゴルフ場も変わっていかなければなりません。本気で取り組めば変わることができる。それが『G-CART』導入で分かった気がします」
ホウライCCの取り組みは、単なる一人乗りカート『G-CART』の導入にとどまらない。その背景にある課題への本気の向き合い方こそが、他のゴルフ場にとって大きな示唆となるはずだ。
