エッジワークスの第四弾シャフト、ドライバー用『EG530-MK』(R、SR、S、SX、X、各1本6万6000円)、UT用『EG HB720-MK』、同『820』、同『920』(タイプⅠ、タイプⅡ、各1本3万800円)全フレックスをギアに精通する永井延宏プロが検証する。
『EG530-MK』の第一印象
永井 50g台の『EG530-MK』は、RからXまでの5フレックス展開。シャフト特性としては、究極の振りやすさをイメージしており、インパクト時にヘッドが同じところに戻ってくるタイプです。 各フレックスにおける、最適な挙動としなりが特長的で、コスメはマットブラックで落ち着いた雰囲気。
ターコイズブルーとグレーであしらった『EDGE』ロゴのグラデーション効果により、長さを感じさせない工夫も施されています。 試打クラブを持った印象もコンセプト通りで、硬度別にしなやかさを変えているのが分かります。早速、全フレックスを打っていきましょう。
実際に打ってみると
永井 同社の50g台シャフトは『519-ML』、『520-MK』がありますが、今回投入された『530-MK』は、60g台『630-MK』のコンセプトであるダブルキックを踏襲したモデルという位置づけになります。
■硬度S
永井 50g台の心地よさと強靭さが同居しています。先に投入された2モデルのSシャフトと比較すると明らかに振りやすくなっており、ネガティブなイメージは全くありません。かつ、シャフト自体に力強さがあるので、昨今の大型ヘッドややや重めのヘッドとの相性が見えてきます。Sを基準に他のフレックスを打っていきます。
■硬度SX
永井 SXの重量は58・5gで、S比で2gアップ。手にした重量感は、バランスポイントがやや先端の方へ寄ったように感じます。こういう挙動のシャフトは自分で叩いていけるタイプに属します。
数値的にはミート率、ボール初速がアップ。手元側が潰れないスムースな挙動と中間から先端にかけてのエネルギー感を1本のシャフトの中で住み分けており、この部分を「ダブルキック」という表現でいいのかな。
とはいえ、手元側大きくがしなるのではなく、リニアという表現が相応しい。まるで、シャフトのミッド部分を握ってスイングしているようで、切り返し時はクラブの動く方向や感覚に加え、タイミングが非常に取りやすい。手元から中間部を自分でしっかり動かしていきながら、中間部から先端にかけてのしなり戻りで飛ばすタイプです。
■硬度X
永井 Xの重量は59・5g。先端重量のSXから一転、Xは手元側に重量を感じます。この部分はテイクバック時の挙動やタイミングに大きく影響を与える部分で、50g台ならではの軽やかな振り心地に対し、60g台の強靭さと積層の厚さがある。この両面を50g台で達成できているのが素晴らしい。その技術力と目指すところが形になっていると思います。
■硬度SR
永井 ミート率1・49を記録したのがSR。基本的にどのフレックスでもボールスピン量が低回転で安定しており、キャリーがしっかり出てますね。振り心地としては他のフレックスと全く同じですが、バックスイング時からシャフトのしなりを感じるので、切り返しが非常にスムース。Sから硬くなるほど、自分で中間部分をグっと働きかけるイメージがありましたが、SRはシャフトの挙動を感じながらオートマチックに打てますね。
■硬度R
永井 Rはムチ的な挙動がはっきりと強く出てきました。でも、ボールスピン量は2200~2300rpmの低回転です。これはシャフト挙動が安定している証で、全フレックスでボールスピン量がこれだけ揃うっていうのはかなりすごいこと。挙動や先端強度などのマッチングについて相当研究したのでしょう。大型ヘッドのパフォーマンスを引き出してくれる、球のつかまりや打出角の高さがキーワードになるのが硬度Rです。
総括
永井 全フレックスに共通するのは、50g台ならではの爽快感とスピード感。フレックスごとの作り込みという部分では、あまり「硬さ」という概念にとらわれずに、シャフトの個性という風に感じてほしい。簡潔にいうと、Rはムチのようにしなり、Xへ近づくにつれて、いわゆる叩くイメージになってきます。シャフト重量を微妙に変化させていますが、基本的には50g台のしなやかさやスピード感を十分感じることができます。
今回の装着ヘッドは、深重心タイプを使用して、2200rpm前後と低スピンの結果となりましたが、現在市販されている大手メーカーのヘッドと組み合わせた場合でも適正なスピン量になると思います。
50g台のシャフトを振り切る体力がある方は、それぞれのフレックスが持つ特性、自分に何がハマるかを是非検証してください。
『EG HB-HYBRID70、80、90』(タイプⅠ、タイプⅡ)
永井 ユーティリティ用は、打った瞬間から高弾道が出るように設計されており、手元側の剛性も高すぎず、先端部分はノーカットの場合は動くようになっています。つまり、番手が#3、#4、#5、#6でも使えるように、チップカットで調整が可能ということ。そのカット量により、技量やハンデなどプレイヤーよって合わせることができるのが特筆すべき点。
例えば80gの場合、タイプⅠだけで0・5、1、1・5、2インチカットの4種類のシャフトが作れる。プロショップの方は、そのチップカット量によって、カスタマイズしてあげるとよいでしょう。先端剛性が緩い方が弾道はより高くなり、動きすぎて合わない人には、チップカットという具合です。
70g台、80g台、90g台でそれぞれタイプⅠ(払いうち)とタイプⅡ(ダウンブロー)をラインアップ。全体的に高弾道でサイドスピンドの少ないUT用シャフトで方向性も抜群です。