全国141コースを運営するPGMはこのほど、4月の業績を発表した。売上は4割減と深刻で、
「東日本大震災のときは3割減。あれよりかなり悪いです」
田中耕太郎社長はそう話した。大震災時は、被災地域のゴルフ場で修復工事等が必要だったが、それ以外のエリアは無傷だったことが被害を限定的にした。今回のコロナ禍は全国に自粛が広がって、業績を著しく押し下げた。
既存店ベースの実績は139コースとなり、売上は42億8800万円で前年同月比42・6%減。来場者は46万5000人で34・5%減。売上と来場者の数字に8ポイントの開きがあるのは、客単価が18・0%下がったことによる。このあたりの事情について同氏は、
「コンペの減少が非常に大きい。当社の場合は通常、コンペの入場者が3割で、コンペ関連の売上は4割を占める。パーティやお土産代が含まれるから収益への貢献が大きいのです。
ところが、主催コンペで感染者が出たら、その企業は姿勢を問われてしまう。コンペが続々とキャンセルになったことが業績に反映したのです。
この状況は5月も続くでしょう。4~5月は昨対で半減するかもしれない。そのような見立てをしていますが、他の業種、たとえば飲食業や旅行、ホテル業に比べればゴルフは恵まれていると思います」
ただし、この状況を逆手に取る戦略も同時に考えている。スループレーの普及によって、ゴルフの大衆化を一気に進める青写真がそれ。同社は5月以降、全コースでスルーに対応し、約6割に相当する80コースを「スルー専用」にするという思い切った手を打った。
短期的にはランチ収益の減少、ツーサムプレーの積極化やスタート間隔を空けるなどで入場者減も予想されるが、
「業界は今後、若者と女性ゴルファーを増やす必要がある。その意味でスルーの普及は、中長期的に見ればゴルフの大衆化に寄与できます。コロナでピンチをチャンスにしたいですね」
ゴルフ場運営の最大手が、80コースを「スルー専用」に切り替える大英断。そのあたりの詳細はGEW6月号に掲載する。