フットウエアメーカーのBMZは、セミオーダーとカスタマイズが可能なゴルフシューズ『GAIA MAX PRO(ガイアマックスプロ)』(6万円/税抜)を展開中だ。同社は長年、立方骨を支えることで安定性と運動性を両立する独自の「キュボイドバランス理論」を元にゴルフのパフォーマンスを上げるインソールやシューズを展開してきた。そんな同社が本気で作った『ガイアマックスプロ』は全てみなかみ町の自社工場で製造されている。
そこで足裏の仕組みから独自のコーチングを行うスポーツシューフィッターの神谷幸宏氏が「BMZフットパーク」(BMZみなかみ事業所)を訪問。オーダーメイドゴルフシューズを作成し、その性能を足裏計測器『スイングカタリスト・デュアル』を使って徹底検証した。
検証内容
BMZのシューズと神谷氏のマイシューズでそれぞれアイアンとドライバーショットを2球ずつ行い、『スイングカタリスト・デュアル』と、弾道測定器『GCクアッド』で測定。足、スイング、弾道の変化をデータで検証する。
『スイングカタリスト・デュアル』とは?
PGAのトッププロが愛用する最新の足裏計測器。スイング中の左右の「足圧」と、「センター・オブ・プレッシャー(COP)」の動きを可視化。さらに足裏の「トルク」、「ホリゾンタル」、「バーティカル」をそれぞれ「N(ニュートン)」で示すことができる。数値が大きいほど効率良くエネルギーを生み出していることになる。
BMZ本気のゴルフシューズを徹底検証
神谷 早速出来上がってきたシューズを履きましたが、率直な感想として「まさに足そのもの」ですね。既製品だと締め付け感があったり、シューズと足の間に空間があったりするのですが、このシューズはそれが一切ない。オーダーメイドで作るゴルフシューズはここまで履き心地が違うのかと驚いています。一刻も早く検証したくなってきました!
■BMZ vs マイシューズ~アイアン編~
スムーズな体重移動でCOPが安定

図1
神谷 まず「図1」を見て下さい。左右の足圧の間に線が表示されていますが、これが「センター・オブ・プレッシャー(COP)」と言って、スイング中に両足の圧がどのように動いているかを可視化したものです。これを見ると、切り返しからダウンスイングにかけて明らかな変化が出ました。画面左のマイシューズのCOPは若干いびつで、蛇行しているのが分かります。これは右足から左足への体重移動がスムーズに行われていないことを示しています。一方、画面右のBMZのCOPは蛇行しておらず、きれいな直線になっています。このことからもスムーズかつスピーディーに右足から左足への体重移動が行われたということが分かります。既製品のようにシューズ内に余分なスペースがあると足がズレてしまいスムーズな体重移動を阻害します。BMZの場合は足がシューズにくるまれているようで、その一体感がこの結果に繋がったのだと思います。

図2
続いて「図2」を見て下さい。これはインパクトからフォローに向かっている瞬間なのですが、「ホリゾンタル(=横方向の力)」に変化が表れています。こういった瞬間は、クラブに引っ張られて体が左に流れないように、右に引っ張り戻そうとするマイナスのホリゾンタルが働くのですが、その数値がマイシューズは▲122Nだったのに対して、BMZは▲136Nと改善されました。左側でしっかりブレーキがかけられると、クラブが走ってくれます。つまりBMZの方が効率良くボールにエネルギーを加えられたと言えます。

図3
このことは「図3」にも表れています。僕の癖なのですが、マイシューズの方はフィニッシュの際に左足のつま先が前に向いてしまっていますが、BMZの方は止まってくれているのが分かります。つまりスイングをしても安定して立てているということになります。
ダウンスイングの懐が生まれる

図4
続いて「図4」は「トルク(=回転の力)」を比較したものです。トルクは左腕が地面と平行になる瞬間にピークを迎えるのが良いと言われていますが、マイシューズの方は98Nに対して、BMZは116Nと、約20Nもエネルギーが出ています。20Nの違いというのはかなりすごいことです!さらによく映像を見比べると、BMZの方が体の右サイドに懐があるのが分かります。マイシューズの方は、切り返しで体重移動がうまくできておらずクラブを下ろすスペースがありませんでした。一方、BMZは左にしっかりと乗れたことでクラブを下ろす空間が生まれました。懐ができればそれだけクラブを速く振ることができるのでメリットがあります。

図5
次に「図5」は「バーティカル(=縦方向の力)」を比較したものです。バーティカルは「地面反力」とも言われ、近年注目されている力です。この力はダウンスイングでシャフトが地面と平行になった地点にピークが来ると良いと言われています。実際に比較するとマイシューズは1047Nだったのに対し、BMZは1108Nとやはり数値が大幅に上がっています。
起動も変化!安定したショットに
やはり一番のポイントはBMZの方がきれいに左に乗れたことだと思います。それによって全ての力がタイミング良く出てくれた。実際にスイングデータにも変化が出ています。

図6
「図6」のデータを見ると、まずヘッドスピードが「嘘だろ!」っていうくらい変わっちゃっています。マイシューズが平均37.3に対して、BMZが平均39.6m/sを計測。2以上速く振れています。
さらにクラブパスもマイシューズがアウトイン1.1度だったのに対して、BMZはインアウト2.6度に変わっています。やはり前述のように左にしっかり乗れたことでクラブを下ろすスペースができ、軌道も理想的なインサイドアウトに変わり、ヘッドスピードもしっかり出たということが分かります。

図7
ボールデータにも変化が出ており、「図7」からも分かるようにボールスピードが平均48.4m/sから平均52.3m/sと約4m/sアップ。キャリーも平均153ヤードから166ヤードとかなり伸びています。さらにアイアンショットで重要な横ブレの数値(オフライン)を見てみると、マイシューズは1球目を曲げてしまったこともあり、左に平均15.1ヤード、一方のBMZは左に平均3.8ヤードで収まっています。さらに、球の高さも28ヤードから36ヤード、落下角度も44.3度から49.1度に変化しており、スピン量も5500回転で安定している。
つまりBMZを使ったことで、飛距離が出て、方向も安定し、高さとスピンでしっかり止まるアイアンショットに変わったということになります。これだけの変化がデータで出るのは正直驚いています。早くゴルフ場で使ってみたいと思うくらいです。
■BMZ vs マイシューズ~ドライバー編~

図A
神谷 続いてドライバーのデータも比較していきたいと思います。「図A」のホリゾンタルのデータを見てみると、やはりアイアン同様に右サイドの空間ができています。特に後方から撮影したスイング映像では、左のマイシューズは若干詰まりながらクラブを下ろしているのに対して、右のBMZの方はクラブが右サイドに降りていることが分かります。数値もマイシューズ162Nに対して、BMZ167Nと若干ですが勝っていることが分かります。

図B
続いて「図B」のトルクの数値もマイシューズ131Nに対して、BMZは141Nと増えています。

図C
同様に「図C」のバーティカルに関しても、マイシューズ987Nに対して、BMZは1067Nと大幅に増えました。元々僕はバーティカルが多い方じゃないのでシューズを変えただけでここまで数値が増えたのは驚きです。それに僕の場合、履き心地が柔らかいシューズの方がバーティカルの数値が出る傾向があるのですが、BMZの方がマイシューズに比べて履き心地が硬めなのに数値が出ていた。これも前例とは違っていた点です。
もう一つ、左足の足圧を比較してみて下さい。これはダウンスイングの瞬間なのですが、マイシューズの方が外側が暖色になっていることが分かります。暖色ほど荷重されているということですので、左側に体重が逃げてしまっているということになります。おそらくマイシューズの方がシューズ内に空間があるため、靴の中で左足がズレて左前に持って行かれてしまっているんだと思います。一方、BMZの方は同じタイミングで左足の内側も暖色が残っているので、左に流れずにしっかり残れていることが分かります。やはりスイングにおいて自分にフィットしたシューズが必要だということの表れだと思います。
ボールスピード&飛距離も変化

図D
次にボールデータ「図D」を見て下さい。ボールスピードを比較すると、1球目こそはマイシューズの方が高かったのですが、2球目はBMZの方が2多く出ています。さらにキャリーは平均で14ヤード伸びています。

図E
スイングデータ「図E」にも変化が出ており、ヘッドスピードが45.6m/sから47.4m/sに上がっています。足元が安定したことでスイングスピードも自然と上がったということが分かると思います。以上のことからもドライバーショットにおいてもデータが大幅に改善されました。
パーフェクトシューズ!
神谷 今回BMZのオーダーメイドシューズをあらゆる角度から検証しましたが、自分に本当にフィットしたシューズを履けばショットも改善されるということがデータからも分かりました。履き心地も文句なしでまさにパーフェクト! クラブやシャフトのカスタムに注目されがちですが、まずは地面を見つめ直すという意味でシューズフィッティングを先にしてもらい、そこからクラブのフィッティングに入ってもらった方がより自分に合ったクラブに出会えると思います。
『ガイアマックスプロ』とは?

神谷幸宏が「BMZフットパーク」に潜入

群馬県みなかみ町。元々中学校だった場所を改装し「BMZフットパーク」(BMZみなかみ事業所)は誕生した。同施設は、ショールームとしてBMZの全製品を試せるだけでなく、足の計測からシューズ製造まで一気通貫で行える生産拠点でもある。日夜多くの職人達がBMZ製品をここから世に送り出している。

某日、神谷氏が同施設を訪問。最先端の機械で足を計測し、今回のオーダーメイドシューズができ上がった。その様子を公開する。
BMZ 取締役副社長 兼営業部長 山中保氏

「当社は『足の貢献度世界一』という理念を掲げています。ここ『BMZフットパーク』は公園の中にあるような会社をイメージして作りました。元々学校だった場所なので、いつかは校庭で地元の子供達が自由に走ったり、日本代表のアスリートがトレーニングできるような環境を作り、町興しの役割も担いたい。今後は工場や物流拠点も整備し、アスリート用に1日に100〜200足のシューズを生産できるようにしていく計画です。
ゴルフスイングのエラーをレッスンで直すことも必要ですが、私達はまずは『ガイアマックスプロ』で骨格バランスを整える方が近道だと考えています。その意味でも日々多くのゴルファーと接しているレッスンプロと一緒に『ガイアマックスプロ』を展開していきたいと思っています」
