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キャグ本社ショールーム

キャグ

2026/04/01

キャグ本社ショールーム開設 施工会社が見据える「成熟市場」の次の一手

インドアゴルフ施設の設計・施工を手がけるキャグは、本社ショールームを新たに開設。GEW浅水敦が来訪し取材を行った。

五反田駅から無料送迎バスで約7分、東京流通センター(東京都品川区)へ移転したキャグは、シミュレーションゴルフ、弾道計測器、人工芝、スクリーン、照明・音響までを一体で体験できる構成とし、単なる展示ではなく「比較・検証・実証」を目的とした拠点として位置づける。

背景にあるのは、インドアゴルフ市場の急拡大と、その裏側で進む成熟化だ。キャグは全国で数多くのインドア施設を施工してきた立場から、市場の変化を冷静に見ている。

同社の片岡重勝氏が険しい表情でこう話す。

「ここ数年で、シミュレーターも計測器も〝できること〟は一気に横並びになりました。正直、機能だけで差別化するのは難しい時代に入っています」

そこで、ショールームには、筐体式から高価格帯まで複数メーカーのシミュレーターと弾道計測器を設置。HDMIスイッチャーにより即座に切り替えが可能で、オーナーやスクール運営者が価格帯ごとの違いをその場で体感できる。

「メーカーごとの〝売り文句〟ではなく、実際に並べて使うと、どこにコストがかかっているのか、どこがオーバースペックなのかが見えてきます。施工会社としては、そこを正直に伝える責任があると思っています」

設備選びと事業性のバランスが重要

同社が重視するのは、設備選びと事業性のバランスだ。近年、インドアゴルフ市場では「高機能=高価格」の流れが進む一方、必ずしも収益に結びついていないケースも少なくないという。

「オーナーが本当に求めているのは、最新機能よりも〝何年で回収できるか〟です。設備投資が重くなりすぎると、運営の自由度が一気に下がります」

ショールームでは、照明やプロジェクターの違いも検証できる。高速カメラ使用時に問題となるフリッカー対策として、3LCD方式の業務用プロジェクターを採用。見た目の鮮やかさだけでなく、計測精度を落とさない環境づくりも、施工会社ならではの視点だ。

また、人工芝エリアでは、砂入り・砂なしの違いを比較できるアプローチゾーンを設置。打感や転がりだけでなく、芝温度の上昇や耐久性といった運営面の違いまで体感できる。

「芝や照明は〝映え〟の要素として見られがちですが、実際はランニングコストやクレーム発生率に直結します。長く運営するほど、その差は効いてきます」

新ショールームには会議室や取材対応スペースも備え、メーカーや異業種との共同開発、実証実験の場としても活用していく予定だ。

「私たちは機械を売る会社ではありません。オーナーが失敗しないための選択肢を、施工の現場から提示する。それがキャグの役割だと思っています」

インドアゴルフ市場が成長期から選別期へ移行する中、キャグの新ショールームは、施工会社だからこそ語れる「現実的な市場分析」と「次の一手」を示す拠点となりそうだ。

次の市場はトレーラー型インドアゴルフ

さらにキャグでは、次の市場を見据えた構想としてトレーラー型インドアゴルフにも言及する。

建築物扱いとならない特殊トレーラーにシミュレーションゴルフを搭載し、顔認証による無人運営や予約・決済までをワンパッケージ化する構想だ。

トレーラーハウスは「車両」として扱われるため、建築基準法上の制限を受けにくく、一般的な建築物よりも低コストで設置や移設ができる点がゴルフ場運営における大きなメリットとなっている。

「人口減少と地価上昇を考えると、〝建てる〟前提のビジネスはリスクが高い。動かせる、やめられる、売れる。そういう出口戦略を含めた設備が、これからは必要になります」

インドアゴルフ市場が拡大する一方で、人口減少や不動産価格の上昇、撤退リスクといった課題が顕在化する中、次の選択肢として浮上しているのがトレーラー型ゴルフ施設である。

「これからは〝作るか、作らないか〟ではなく、〝動かせるか、動かせないか〟の時代です」

同社が構想するトレーラーゴルフは、建築物扱いとならない特殊トレーラーに、シミュレーションゴルフ設備を搭載するというものだ。

最大の特徴は、初期投資の軽さと回収スピードにある。土地取得や建築費が不要なため、従来のインドア施設と比べて初期投資を大幅に抑えられる。撤退時も「売却・移設」という選択肢が残る。

「建物はやめた瞬間に負債になりますが、トレーラーは資産として残せます。ここが一番大きい」

トレーラー型は、人口が減少する地方や郊外でこそ威力を発揮する。住宅地の空き地、商業施設の遊休スペース、ゴルフ場の駐車場など、短期・中期での設置が可能だ。

「人が減るエリアで20年ローンを組むのは、正直リスクが高い。トレーラーなら、需要が動けば追いかけられます」

運営面では、無人化・省人化との相性も良さそうだ。顔認証による入退室管理、予約・決済のオンライン化により、スタッフ常駐を前提としない運営モデルが描ける。

設備面では、筐体式シミュレーターとの組み合わせが前提となる。高さ・奥行きの制約があるトレーラー内では、大型機器よりも、設置性とメンテナンス性に優れたシステムが有利だ。

トレーラーゴルフは、イベント用途や実証実験としても可能性がある。自治体主催の健康増進イベント、企業の福利厚生、ゴルフ場のオフシーズン対策など、期間限定での活用がしやすい。

つまり、常設を前提にしないことで、逆に使い道が広がるということだ。

市場全体を見渡すと、今後インドアゴルフは「固定型」と「可動型」に二極化していく可能性が高い。都市部では高密度・高単価の固定型、地方や実証用途ではトレーラー型という住み分けだ。

トレーラーゴルフは、まだ実装段階には至っていない構想も多い。しかし、「建てない」「縛られない」「逃げられる」という思想は、これからのゴルフビジネスにおいて無視できないキーワードになりつつある。

設備投資の重さが経営の足かせになる時代に、トレーラーゴルフはリスクを最小化しながら挑戦できる新しい選択肢として、静かに注目を集め始めている。


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