新型コロナウィルス関連ニュース

民放連に申し入れ JGAらが「ゴルフを悪者にしないで」

2020/05/05

日本ゴルフ協会(JGA)と全日本ゴルフ練習場連盟(JGRA)はこのほど、日本民間放送連盟(民放連)に「報道是正」の申し入れをした。ゴルフ関連施設をパチンコ店と同列に報じてもらいたくない、との主旨。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い多くの業種が休業する中、屋外のゴルフ施設は休業要請の対象外となった。しかし、ゴルフを楽しむ姿がパチンコ店の行列と関連付けて報じられ、世間の反感を買っている。これを重く見たもので、JGAの永田圭司副会長は、

「緊急事態宣言が出るまでは、自然と触れ合えるゴルフは健康的という風潮がありましたが、宣言が全国に拡大され、さらに5月末まで延長される中で、ゴルフだけ自粛しないことへの風当たりが強くなってきた。一部の有名人がゴルフ場で罹患したニュースも拍車を駆けています。

そのような状況でJGRAから、ゴルフに関わる報道が過度にマイナスイメージを与えることに疑問が呈され、要望書を出したという経緯です」

要望書は以下の内容だ。

(新型コロナウイルスの拡大で)全国のゴルフ場やゴルフ練習場の多くが存続の危機に直面しております。そのような中、政府からの指導にもある3密を避けながら出来るゴルフは、各ゴルフ場やゴルフ練習場が様々な工夫をしながら営業をしております。

ゴルフ施設は、国が掲げる感染防止コントロールをしながら、運動の推奨が同時に満たされる場である一方、最近の報道を拝見しますと、あたかもゴルフ関連施設に人が集まって「密」の状態を誇張するようなシーンやコメントが見られ、自粛要請対象になっていないにも関わらず、パチンコ店や飲食店と同じように扱われております。

このような報道が、いわゆる「自粛警察」のターゲットになり、自主的な閉鎖に追いやられ、結果営業を続ける施設に人が集まり、利用者の集中や混雑を生むという悪循環を生み出しているように思われます。

つきましては、メディア、特に影響力の大きいテレビの報道において、必要以上に今回のコロナウイルスと関連付ける形で、ゴルフ関連施設を取り上げた内容を放送しないようお願い申し上げる次第です。

この書状での特記事項は、「パチンコ店と関連付けて報道される」ことへの見直しである。JGRAの横山雅也会長は、

「特に1週間ほど前から多摩川の河川敷練習場を空撮した映像が頻繁に流れ、パチンコの行列と同じ扱いで報道されるようになったのです。いわゆる『自粛警察』からクレームが入り、中には脅迫めいた抗議もあった。我々としては2・5mの打席幅を設け、3密を避ける対応をしてますが、空撮ではそれもわからない。

コメンテーターの話も一方的なので、どうにか是正できないかと。それが申し入れの主旨でした」

JGAとJGRAは、ゴルフ関連16団体が加盟する日本ゴルフサミット会議のメンバーだが、今回2団体で要望に踏み切ったのは、急激にクレームが強くなり、ゴルフのマイナスイメージ助長を懸念したことが大きい。業界全体のコンセンサスを得る前に迅速な対応を優先した。以下、永田副会長、横山会長との一問一答を掲載する。

JGA永田副会長との一問一答

一連のコロナ報道でゴルフへの逆風は感じますか?

「それは、やはり感じますね。ゴルフは自然の中でプレーできる健康的なスポーツですが、みんなが自粛で耐えている中、ゴルフだけやっているのはおかしいという風潮が強まっています。一般的な印象としては、ゴルフ場は限られたメンバーであり、それ以外の人は利用できないと見られていることもあるでしょう」

「それ以外」というのは、ゴルフをしない9割以上の国民も含めてですか。

「そうですね」

となると、ゴルフのネガティブイメージが加速する。特権的だし自粛にも協力しないとなれば、風当たりは強くなるでしょう。コロナを機に、ゴルフ界からメッセージを出す必要もありますね。

「今回のコロナ問題は、人類に対する大きな課題だから、ゴルフだけがどうこうというのは難しいと思います。コロナはかなり手強いし、部分的に解除されるとしても、長期戦を覚悟する必要があるでしょう。

ただ、ゴルフ界としてのメッセージは、考えていないわけではありません。利用税がなかなか廃止されないことを含め、ゴルフが穿った目で見られることも承知していますので、スポーツとしてのゴルフの魅力をどうやって発信していくのか。これは大事な課題だと考えています」

5月中にはメッセージを発信する?

「具体的なことは言えませんが、トーナメントも開催できず、それ以外にもいろんな業種が傷んでいます。ゴルフ界よりもっとひどいところもありますので、世情を睨んでのことになるでしょう」

日々、状況が激変する中、メッセージを出すタイミングと中身が難しい。

「はい。どのタイミングでどんなメッセージを出すのかは、非常に悩ましいところです。我々としてはUSGAが様々な対策を講じており、それらを参考にしながら判断したいですね」

民放連に対しては、要望書の通達以外に何かアクションは考えていますか。

「いえ、今回に関しては要望書を送っただけで、それ以外は考えていません」

JGRA横山会長との一問一答

民放連に要望書を出した経緯を教えてください。

「特に1週間ほど前から多摩川の河川敷練習場を空撮した映像が頻繁に流れ、コメンテーターの否定的な意見やパチンコの行列と同等に扱う番組が増えたのです。それでいわゆる『自粛警察』から脅迫めいたクレームも入りました。

これは看過できない、もっと正確な情報を伝えてもらう必要があると考えて、JGAに相談したわけです」

視聴者からのクレームは、JGRAに対してですか?

「いえ、個々の事業者に対してで、メールや電話もありました。かなりキツイ言葉もありましてね。それで民放連に『お願い』という形で要望書を出しましたが、トーナメントスポンサーの団体であるトーナメント振興協会のルートからもお願いしています。

スポーツ局と報道局の違いはあるにせよ、どうにか伝えてもらいたいと。それで振興協会のルートも使ったわけです」

練習場は昨年、台風による鉄柱倒壊もあった。今回のコロナで営業中の施設も多いですが、周辺住民からの風当たりや白眼視は感じますか。

「白い目で見られる、営業しにくいという感じはたしかにあります。ですから、連盟としてはゴルファーに訴え掛けることも必要で、ホームページには『健康維持、ストレス解消の範囲内で皆様のお役に立ちたい』というメッセージを掲載しています。

ただ、国民の8割が接触を避ける、外出自粛という目標の中で営業しているわけだから、難しい面は多々あります。『格別のストレスがない場合は来場を控えてください』というメッセージも発信するなど、悩みながらやっています。

営業しないと生きていけない。これは飲食業に顕著ですが、我々も同様です。屋外のゴルフ施設は休業要請の対象外ですが、人々の健康とストレス解消に役立ちながら、どうやって周囲の理解を得ていくのか。本当に難しい課題ですよ」

ゴルフ界から外部へのメッセージという意味では、多分、今回の要望書が初めてじゃないか。ネガティブイメージ醸成への焦りがあった?

「そうですね。連盟内にコロナ対策本部を設け、7地区の代表者と10日に1回、ズーム会議を開いていますが、日々状況が変わる中でスピーディな対応を心掛ける。そのため敢えて今回は、他団体に諮ることなく、JGAとの連名で要望書を出しました」

以上、一問一答を掲載した。

民放連への異例の「お願い」は、同じ映像を繰り返し流すテレビ局の悪癖を突いたものでもある。映像の使い回しは番組の制作コストを下げられるため、テレビの定番コンテンツになっているが、その結果、視聴者への刷り込みや「自粛警察」の培養にもつながっている。魔女狩り的にゴルフが悪者になるわけで、今回の要望書は「言うべきは言う」という姿勢の表れだろう。

いずれにせよゴルフ界は今後、ゴルフをしない9割以上の国民に理解を求める一方で、ゴルファーには施設の有効利用と自粛を同時に訴える難しい舵取りが迫られる。それだけに、ゴルフ界からのメッセージが不可欠だ。感染率が一定のレベルに下がった段階で、市民にゴルフ場を開放するなど業界挙げての施策も必要だろう。

コロナに掛けて、9月6、7日の2日間、全国のゴルフ場が一斉に散歩コースとして開放すれば、世間に与えるインパクトは大きいはず。


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