「コロナウイルスなんかに負けてたまるか! そんな根性でやりますよ。最悪の事態を考えて、なおかつ腹を固めました」
国際スポーツ振興協会(ISPS)の半田晴久代表理事は7月15日、都内のホテルで新規4試合の開催を発表した。国内男女ツアーは概ね中止が相次ぐが、「コロナに喝!」を合言葉に閉塞感を打破する構えで、いずれもギャラリーの入場を予定する。
大会は日本プロゴルフ協会(PGA)のシニアツアー2試合と、医療従事者応援を謳ったチャリティ大会が2試合。具体的には、
ISPS HANDAコロナに喝!!シニアトーナメント(7月30~31日、静岡県・朝霧CC、賞金総額3000万円)、同プロゴルファー誕生100周年記念大会(8月21~23日、群馬県・赤城GC、同5500万円)。医療従事者支援としてジャンボ尾崎記念チャリティ(9月14~15日、千葉県・ゴルフ5カントリーオークビレッジ、同3000万円)、同チャリティレディース(8月3~4日、静岡県・伊豆大仁CC、同3000万円)。
これらは急遽決まったもので、発表会に登壇したPGAの倉本昌弘会長によれば、
「6月の2日か3日だったと思いますが、半田会長から電話があって『このピンチを助けたい』と言われました。お断りする理由は何もなく、非常にありがたい話です。問題は場所の確保ですが、それも半田会長が『どうにかしましょう』ということで実現の運びになりました」
申し出から開催までわずか2か月の早業だが、この点について半田代表が力説したのが冒頭の「腹を固める」という覚悟。同氏は記者発表の冒頭で35分間の「演説」を行い、記者との質疑応答を終えてからも持論を展開しているが、興味深い内容なので以下要約する。
「いろんなところで自粛が相次いでいますが、それは感染者が発生したらどうしようと企業のトップが恐れるからです。雇われ社長は社会的責任を追及されるのでやれません。
わたしは『オーナー社長』だから恐れないし、万全の防止策を講じた上で、それでも発症したら責任をきちんと取りますよ。じゃあ、責任とは何なのか? わたしは5段階で考えています。
1番目は安倍首相と同じ方式で、『遺憾です』とお詫びして終わり。(中略)そして4番目は、仮に大会で感染者が出た場合、『コロナに喝!』と言っている以上、感染者がゼロになるまで大会をやり続ける。
そして5番目です。これは、感染者が出たらその人の休業補償をすることです。月収30万円の人が感染して10日間仕事を休んで支障が出たら、30万円の3分の1に家族の人数分を補償します。
月収3億だと1億になりますが、これは金額が大きいから100年ローンで払います(笑)」
100年ローンはリップサービスを交えた冗句だろうが、いずれにせよ、準備と覚悟が不可欠と強調する。
発表会は西新宿の京王プラザホテルで行われた。集まった報道陣91名は受付で消毒薬のうがい、検温をしたあとマスク、フェイスシールド、手袋の3点セットを渡された。会場ではマスクのみの記者が大半だったが、これを1万セット用意してギャラリーに無償配布する。
諸事、自粛が蔓延する中、多くのゴルフメーカーは秋の新製品の打ち出しに苦慮。発表会の中止やオンライン受注など知恵を絞っているが、各社とも横並びの印象が強い。そのような状況で今回の記者発表は、トップの覚悟という意味でも異彩を放っていた。